事業のマネジメントは、勘や才能で行うものではない。マネジメントを構成する諸々の要素は、分析し、体系的に組織し、普通の人間ならば誰でも学習できるものにすることができる。
現代社会とその市民に対するマネジメントの影響はあまりにも大きく、マネジメントたるものには、真の専門家として高度の規律と公共への奉仕が求められる。
それにもかかわらず、マネジメントを評価する究極の基準は、事業上の成果である。知識ではなく、成果が当然の基準であり、目的である。言い換えるならば、マネジメントは、科学や専門職業の要素を含んではいても、そのいずれでもなく、あくまでも実践である。
事業以外の能力の有無にかかわらず、事業上の仕事ぶりに優れたものに十分仕事をさせることこそ、優れたマネジメントの証明である。
この部分には副題がついていて「マネジメントの第一の機能ー事業をマネジメントすること」というタイトルになっています。
1954年の著作ですから、現在ほど経営管理に関する分析が進んでいた訳ではなく、直感によるマネジメントがほとんどだった時代だと思います。ドラッカーはこういう直感的なマネジメントの時代が終わり、体系的に学ぶことができるようになると述べています。
そして、マネジメントの立場にいる人の数と能力が大きくなると社会的影響が大きくなるので、その姿勢はきちんとしていなくてはならない、いわば「世のため、人のため」の精神が求められると言っています。
「あくまでも実践である」という記述の後に「マネジメントの仕事に免許を与え、あるいは特別の学位を持つ者だけに資格を与えてマネジメントを専門職化することほど、経済と社会に害をもたらす者はない。」と、いわゆるMBA(経営学修士)に対して批判的な態度を取っています。
2013/5/12