事業が成果をあげるには、一つひとつの仕事を事業全体の目標に向けなければならない。期待すべき成果は事業の目標に基づいて決められる。
組織に働く者は、事業の目標が自らに求めているものを知り、理解しなければならない。上司もまた、彼らに求め期待すべき貢献を知らなければならない。そして彼らを評価しなければならない。これらのことが行われなければ、組織に働く者は方向づけを誤る。働きは無駄となる。チームワークの代わりに摩擦、不満、対立が生じる。
目標管理には特別の手法と非常な努力が必要である。
企業には経営管理者を誤って方向づけする三つの強力は要因がある。すなわち、経営管理者の仕事が専門化していること、マネジメントの構造が階層になっていること、そして、ものの見方と仕事の違いが孤立化を招いていることがある。
第11章は、マネージャーをマネジメントする為に第一に必要となる、目標と自己管理によるマネジメントについての記述です。
第5章で述べられていたように「企業の目的は顧客の創造である」わけで、組織は社会に対して何らかの貢献をすることが目的ですから、貢献できていることが組織の成果となります。
組織の外部に向かう貢献が組織に属する者の共通の目標となっているはずです。それによって組織に属する一人ひとりは同じ方向を向くことができ、それらが統合されて全体の成果につながっていくという構造が必要となるのです。
しかし、組織が大きくなると全体の成果と自分の仕事が直接関わりを持たない人が多くなってきます。そのため、上記のようにチームワークは崩れて内部に対立が生じたりすることになるのです。
方向づけを誤る要因として三つ上げられていますが、これらは次のセクションから順番に見ていくことになります。
目標管理は、原文ではmanagement by objectives and self-control です。肝となるのはself-controlの部分で、組織による目標管理ではなく、目標を立てたその人が自分で管理することをドラッカーは説いています。
それだけに、「特別の手法」と「非常な努力」が必要だと言っているのです。
2013/7/6