「人事管理は破綻したか」と本章の章名は問いかけた。ここにおいてわれわれは、次のように答える。
いや破綻はしていない。負債は資産を超過していない。しかし支払いは不能である。人と仕事のマネジメントに関わる約束手形について、成果という現金で支払いを行うことは不可能である。
しかし、もっと楽観的な見方を可能にしてくれる事実も存在する。技術の変化が、新しい考え方、新しい実験、新しい方法論を必然とするようになる。しかも明らかにそのような気配がうかがえる。
本章では、人をマネジメントすると同時に仕事をマネジメントするという命題に対して、人事管理論、人間関係論、科学的管理法という既に研究されてきた経営理論を取り上げ、それぞれの特徴と至らない点を指摘してきました。
そのような批判を加えてきたにもかかわらず、それでも人事管理は破綻しているわけではないと本章をまとめました。
負債、資産、約束手形など財務会計の用語を使って、かなり重篤な状態であることを表現しています。
しかし、それぞれの理論の研究者たちはこれまでよりも突っ込んだ研究を進めていると言う事実もあるし、実務家(企業経営者)たちは研究者よりも先に進んでいると言う事例もあるので、これからもっと良いマネジメントの原理や方法が見出されていくに違いないと結んでいます。
2013/9/18