効果的な実行
最後に、いかなる解決策といえども、実行に移され成果をあげなければならない。
意思決定の結果、売り込みに時間を要するようであっては、意思決定そのものが適切に行われなかったことを意味する。
せっかくの解決策も、実行があって初めて意思決定となる。ところが経営管理者自身は、通常実行にあたることはない。何を行うべきかを伝え、動機づけを行うだけである。
解決策を実行に移すには、実行にあたるべき人が、自らの行動においていかなる変化を期待されているかを理解することが必要である。
すなわち、実行にあたる人たちが意思決定のプロセスに責任をもって参加していなければならない。
最善の解決策を選定したら、いよいよ実行の段階です。
ここでドラッカーは、あまりに多くの意思決定がこの段階で時間がかかりすぎる、と嘆いています。解決策の「売り込み」という言葉を使って、解決策を実行する人に理解させ、行動を変えさせるための説得あるいは調整作業を、解決策を選定してから始めるのでは遅いというのです。
意思決定を行うマネージャーとその意思決定を実行する現場の従業員という役割分担を前提と考えると、マネージャーが直接その意思決定の実行にあたるわけではありません。また、最善の解決策を選定したら、素早くそれを実行すべきです。
そのためには、もっと前の段階から実行する人たちを参画させておかなければならないとしているのです。
これまでの意思決定のプロセスを遡っていますが、問題の理解、分析の段階では、誰を参画させるべきかは明らかでないはずなので、ここまではマネージャーだけで行うべき仕事です。
解決策の作成段階になったらその影響を受ける人たちを参加させる必要がある、それによって、マネージャーの独りよがりの解決策ではなく、より質の高い意思決定ができるようになると述べています。
2013/10/25