しかし、もはやわれわれは、自動車の組み立てラインが仕事の設計として完全なものではないことを知っている。それは機械の仕事の設計としても完全ではなく、非効率である。興味深いことにこのことは、例えばフォードのクリーブランド工場など自動車産業自体によって明らかにされている。
このフォードの工場では、それまでの組み立てラインの工程が完全に機械化され、効率と生産性の大幅な向上を見ている。そこでは材料の運搬、機械の運転、製品の検査のすべてが自動化されている。人の数はそれまでの工場に比べて著しく少なくなったわけではなかった。彼らは生産現場ではなく、機械の設計、製造、維持管理の仕事をしている。
一動作一仕事の考えによって効果的に組織できる仕事は機械の仕事として組織することによって、効率と生産性を大幅に上昇させることができる。このように機械化できなければ、それはエンジニアリングが不十分であることを示しているだけであって、人の仕事として組織すべきことを示しているのではない。
その当時進行していた生産現場のオートメーション化によって、従来の熟練組立工の仕事は機械に取って代わられていきました。
科学的管理法や以前のフォードの向上の生産性の高さによって、人の仕事もそのように組織するのが最も生産効率を上げると信じられていた状況とは変わっていることをドラッカーは見抜いており、人の仕事を機械の仕事と同じように組み立ててはならないと指摘したのです。
上記のように、一つの動作を早く完全に行えるという機械の特性を活かせる仕事は、機械の仕事して組織すべきだが、人の仕事はそれと同じ考えで組織してはならないと言います。
それは、そもそもそのような作業にとって人は不完全だからです。そのため、「人の特徴は多様な部分から総体を作り上げ、判断し、計画し、変化することができるという人間の特質を活かすべく作業を統合しなければならない。」としたのです。
作業を統合するということの原則を、次のセクションで述べられています。
2013/9/20