マネジメントは常に、現在と未来という二つの時間を考えなければならない。長期的な利益、さらには企業の存続を犠牲にして目先の利益を得ても成果を上げたことにはならない。また逆に、壮大な未来のために今年厄災を招くようなリスクを冒す意思決定をすることは無責任である。
企業のマネジメントにとって、時間という次元が特に重要であり、特に困難である理由は二つある。
第一に、今日の経済と技術の特質は、それに関する決定が実を結び、その効果が確認されるまでの期間がますます長くなっていくことにあるからである。
第二に、企業のマネジメントは、そしておそらく企業のマネジメントだけが、常に現在と未来の双方を生きなければならないからである。
短期と長期のバランスという問題です。片方だけではバランスを欠いて、存続が危うくなるということを簡潔に述べています。
投資の効果が発現するまでの期間が長くなっている例として、本書著作のさらに50年前のエディソンと比較して、当時は研究の着手から2年で工場の稼働するというサイクルだったものが今日(1950年代)では15年を要するようになっていると述べています。
また、「企業以外のマネジメント」の例として、軍のトップも現在と未来の双方を知らなければならないが、平時においては未来を、戦時においては現在を見ればよく、常に両方を見る必要がないと述べています。
これに対し、企業のマネジメントは、現在において企業を成功させ利益を上げつつ、同時に将来にわたって企業を成長、繁栄させなければならない、だから大変ではあるが、それこそマネジメントが責任を持つべきことだと言っています。
2013/5/16