経営管理者の仕事は、組織の目標の達成に必要な課題によって規定される。彼らは、上司によってではなく仕事の目標によって方向づけされなければならない。
経営管理者とは、企業の最終的な業績について責任を持ち貢献を行う者である。したがって、その仕事はその責任にふさわしい大きさである事が不可欠である。彼らの仕事は、最大限の挑戦、責任、貢献を体現するものでなければならない。そしてその貢献は、目に見え、測定しうるものでなければならない。経営管理者たる者は、事業全体の成果を指し示し「ここのところは私の貢献だ」と言えなければならない。
経営管理者の仕事の中には、一人の仕事としては大きすぎるものの、いくつかの独立した仕事には分解できないものがある。そのような仕事はチームで行われなければならない。
チームのメンバーはそれぞれの能力において貢献できるだけだが、それぞれが仕事全体に責任をもつ。
マネージャーをマネジメントする事において第一に必要とされている事が、第11章の自己管理による目標管理でした。マネージャーを含む組織の一人ひとりは、その上位組織の目標設定に参加し、自らの目標設定を行い、その実行管理を自ら行うと要約できます。
第二に必要とされている事が本章で述べられている「マネージャーの仕事を適切に組織すること」です。
それは、マネージャー一人ひとりが求められる成果を生むように、その仕事が最大の成果をあげるように組織されていなければならないということです。
上記で述べられているように、マネージャーは自ら設定し上司や周囲に承認された目標によって方向付けられ、日常の仕事を実行していきます。そして企業の最前線にたつ一人ひとりの仕事ぶりが企業の最終的な業績に責任をもつ事になります。
事業全体の責任者が誰かと問われれば、トップマネジメントという事になるのですが、それでも現場の一人ひとりが責任をもって全体の成果に貢献している、「ここは私の責任だ」といえるような仕事をしているということが、一人ひとりが自由になることだとドラッカーは考えたのです。
仕事自体もかなりの大きさを持たせよ、最大限の挑戦をするようにせよというのですから、とても高いレベルを求められています。しかしそれによってこそ、一人ひとりが成長する事になるのだと思います。
このセクションでは仕事が大きくしかも分解できない場合に使われる、チームによる仕事の実行について触れられています。チームで仕事をする場合、責任が分散してしまうという事が発生しがちなので、その点について注意を加えています。
「何にもまして、チームのメンバーの一人ひとりが明確な役割をもつべき事を知らなければならない。チームとは混沌をそのまま利点に代えてくれるものではない。チームによる仕事は個別の仕事よりもはるかに緻密な組織、密接な協力、一人ひとりの役割の明確化を要求する。」
2013/7/15