連邦型組織、機能別組織という分権的組織に成功するには、企業全体に共同体意識が存在していることが必要である。分権的組織とは多様性における統一である。
マネジメントが共同体意識を育て、機能別組織のセクショナリズムや連邦型組織の島国意識から生ずる遠心力を抑えるには、三つの方法がある。
第一に、いくつかの重要な意思決定権はトップマネジメントにのみ付与することである。すなわち事業全体やその将来に影響を与える意思決定の権限と、全体の利益を部門の野心やプライドに優先させる権限をトップマネジメントに付与すると言う「一般福祉条項」と呼ぶべきものの設定が必要である。
第二に、連邦型組織や機能別組織の単位組織を超えて、経営管理者を異動ないし昇進させることである。もちろん若い人たちをあまり異動させても意味はない。しかし、マネジメントの最下位層を脱し、卓越した成績を示したときは、出身部門以外のポストへの昇進を考えるべきである。
第三に、各単位組織の経営管理者に、共通の原則、すなわち共通の目的と信条をもたせることである。共同体意識を実現するための原則の一致は、むしろ仕事の進め方の多様性によって強化される。画一性が求められるのは、他の部門に影響を与えることについてだけである。
連邦型組織では、独自の市場と製品やサービスをもって独立採算的に活動をするので、ともすると他の事業部は顧みないということ(上記では「島国意識」と言っています)が起きがちなため、企業全体としての共同体意識が必要であると、注意を促しています。
トップマネジメントが行うべき重要な意思決定の例として、「GEでは、社長だけが事業の廃止と新事業への進出を決定する。GMでは、本社のトップマネジメントだけが、各自動車事業部の製品の価格帯を決定することによって、事業部間の競争条件を定める。シアーズでは、シカゴにある本社だけが、各店舗の扱う金物、電気製品、ファッション製品などの商品の種類を決める」という三つを紹介しています。
また、複数の事業部を経験するような人事異動によって、島国意識やセクショナリズムの弊害を回避するようにするわけです。
2013/8/21