リーダーシップは確かに重要である。しかしリーダーシップは、創造できるものではない。昇進によって生み出すことのできるものではない。教えたり学び取ったりすることのできるものでもない。しかもリーダーの資質を備えるものはあまりに稀であり、かついつ現れるかを知りえない。
したがって、企業が生産的な存在として一体性をもつ上で必要な組織の文化を実現するために、リーダーの出現を頼みにすることはできない。
マネジメントは他の方法によって卓越した組織の文化を実現する必要がある。効率的ではなく、手早いものでもないかもしれない。しかしそれらの方法は、少なくとも手に入るものであり、しかもマネジメントが使うことができるものである。
リーダーシップとは、人を引きつける資質ではない。そのようなものは扇動的資質にすぎない。また、仲間を作り人に影響を与えることでもない。そのようなものは営業マンシップにすぎない。
リーダーシップとは、人の視線を高め、成果の基準を上げ、通常の制約を超えさせるものである。
ドラッカーは「組織は平凡な人たちによって非凡な成果を上げられるようになるための道具である」と言っていますが、そのためにリーダーが必要だとは言っていません。マネージャーも普通の人であり、原則を学んで実行することにより、非凡な成果を上げられるようになると教えています。
しかし、リーダーの存在やリーダーシップを否定しているわけではなく、重要なものだとしています。ただ、リーダーは稀だし、育てられるものでもないので、それに期待するマネジメントを行っていたのでは、いつまで経っても成果は出ませんよと警告しています。
上記のようにリーダーシップは、「人の視線を高め、成果の基準を上げ、通常の制約を超えさせるもの」と定義していますが、これは、これまで読んできたマネジメントによっても実現できるものです。
一人のリーダーが出現してそれについていくことができれば、組織の成長は早いかもしれないですが、多数の平凡な人の集まりであっても地道に原則に基づいて行動し、それが習慣として、また組織の文化として根付いていけば、同じように組織は成長できるとしているのです。
2013/7/28