働く人が最高の仕事を行ううえで必要としているものが何であるかをマネジメントに教えることができる者は、職長や係長の名で呼ばれる第一線の現場管理者だけである。従業員の仕事ぶりも、彼ら現場管理者の計画と日程管理の能力次第である。卓越した仕事がなされるか凡庸な仕事に終わるかを決定するのも、彼らの配置と訓練の能力次第である。
誰もが現場管理者の行うべきことについて知っているという。現場管理者は、書類と悪戦苦闘し報告書を書くのに忙しい事務屋である。部下たちにとっては、指導員あるいは親方である。設備や工具についての専門家である。おまけに現場のリーダーである。しかも、年俸4000ドルでこれらのすべてを完璧に行うことを期待されている。
さらに悪いことには、マネジメントは現場管理者に対し、最も重要な仕事は現場の人間関係であると言いながら、実際には書類づくりの上手なものを昇進させている。
現実の現場管理者は、いかなる意思決定もできず、常に間違ったことをしでかすマネジメントの使い走り、何か話を付けるときには無視すべき使い走りに過ぎない。
現場管理者と訳されているのは、原文ではsupervisorです。日本の生産現場では、班長とか職長、あるいは現場監督と言われたりする職種です。
本章では、この現場管理者の仕事をどのようにすれば良いのかということについて論じています。
まずは、(この時代の)現在の現場管理者がどんな仕事ぶりなのかを観察し、期待されていることを分析した結果、万能のスーパーマンを要求しているようなものになっていると指摘します。その上、現場管理者の仕事は設計されたこともなければ検討されたこともないと言います。
それでは、彼らは何を目標にどんな仕事をどのようにやれば良いのか自分でも決められないし、認められるのが書類づくりならばそれに力を入れることになって、現場は混乱するばかりになってしまいます。
そして、現場の混乱と現場管理者の過負荷を軽減するために、彼らがマネジメントすべき部下の数が削減されていったそうです。しかし、それでは問題は解決しないとドラッカーは指摘します。
「現場管理者の率いる部門を小さくしても、問題は解決されない。それどころか問題を大きくすることになる。問題を解決する唯一の方法は、彼らの仕事を適切に組織することである。」
2013/10/1