企業が働く人たちに対して第一に要求すべきは、企業の目標に進んで貢献することである。
働く人から何かを得ようとするならば、正当な労働などよりもはるかに多くを求めることが必要である。正当さを超えて貢献を求めることが必要である。黙従ではない。攻撃的な組織の文化を生み出すことを求めることが必要である。
なぜならば、要求が大きければ大きいほど、大きなものを生み出すのが人の特性だからである。人がものを生み出す力は、主としてその要求の水準によって決まる。
企業が働く人たちに対して第二に要求すべきは、変化を進んで受け入れることである。企業にとってイノベーションは不可欠の機能である。しかしそのためには、人も変わらなければならない。彼らの仕事、習慣、関係が変わらなければならない。
人は変化に抵抗すると言う考えは間違いである。天上天下に存在するあらゆる創造物のうち、人ほど新しいものに貪欲な存在はない。
人と仕事のマネジメントにおける三つの要素のうち二つ目の「企業は人に何を要求すべきか、人は企業に何を要求すべきか」についての考察です。
企業は働く人に対して何を要求すべきかという問題に対し、よくある答えとしては「給料分働くことを求める」ということになるのでしょうが、ドラッカーはそれでは求めているものが低すぎるし、そもそも要求が間違っていると言います。
そこで、上記のように「進んで貢献する」「進んで変化する」という二つのことを求めてよいのだとしました。
人は、要求を達成しようとするし、新しいものを貪欲に求めるという特性があるのだから、どちらの要求も人の特性に沿ったものであるとしているのです。
いずれも「せめて給料分は働け」という常識とはまったくレベルの違うものを要求して良いのです。
ただし、変化については次のような条件が必要だと述べています。
「第一に、変化が合理的なものと受け取られることが必要である。人にとっては変化が進歩であることが必要である。第二に、変化があまりに急速であったり、大きかったりしてはならない。馴染みの世界を破壊するものであってはならない。」
2013/9/9