マネジメントの間で、象に出会った目の見えない人たちの話がある。異なる階層のマネジメントも、それぞれが同じ象を異なる角度から見ている。
工場の職長は、脚に触って木があると思うように、目の前の生産の問題しか見ない。トップマネジメントは、鼻に触って蛇がいると思うように、企業を全体としてしか見ない。あるいは、株主との関係や財務上の問題など抽象的な関係や数字しか見ない。現場のマネジメントは腹に触って地滑りの跡と思うように、すべてを自らの部門の視点から見る。
確かにマネジメントの階層は、それぞれ相応のものの見方をすることが必要である。そうしないかぎり自らの仕事を満足に行うことはできない。しかし階層によってものの考え方があまりに違えば、同じことを話していながらそのことに気づかないことさえ起こる。逆に、対極にありながら同じことを話していると思う。
マネージャーを誤って方向付けする要因の二つ目は、マネジメントの構造が階層化していることです。
一つ目は機能的に分かれている組織のそれぞれのマネージャーが専門化に特化しすぎる危険でしたが、二つ目は上下関係でそれぞれのマネージャーが違うものを価値と見ている危険性がある点を指摘しています。
上記の例のように同じものを見ていながら立場が変わると違ったものに見えるというのは、よく経験すると思います。
組織の中では、個人的な思想はさておき、その立場を演じなければならないという力が働きます。それが階層のマネジメントによる違いで、誤って方向付けられる力になるのではないかと思います。
この立場のマネージャーにはこんなことが期待されていると言う雰囲気が部門代表としての態度を求められていると感じ、それを一生懸命演じると実は全体の成果とは逆の方向が向いていることに気づかない、ということが起きがちだということです。
自分が組織の中のどんな立ち位置にいて、全体の成果を阻害するような動きをしていないか常に自らチェックしていなければならないということです。
2013/7/8