マネジメントは、三つの生産システムのそれぞれが、いかなる能力を仕事を要求するかを知らなければならない。
個別生産において、マネジメントにとって第一の仕事は注文を取ることである。大量生産においては、流通チャネルを作ることであり、同時に顧客がそれぞれのニーズを製品の多様性に適合させてくれるよう、顧客を教育することである。プロセス生産においては、市場を創造し、維持し、拡大することであり、さらには新しい市場を見つけることである。既に50年前、スタンダードオイルは灯油の市場を開拓するために、中国の農民に灯油用のランプを無料で配っていた。
個別生産は技能に優れた人を必要とする。新旧いずれの大量生産も、分析的な思考、日程管理、計画に経験のあるマネジメントを必要とする。また新型の大量生産とプロセス生産は、事業を全体として見る能力を持ち、かつ意思決定に優れたマネジメントを必要とする。
扱っている製品によって適切な生産プロセスは異なるわけですが、その生産プロセスを効率的に動かしていくためには、その事業のマネジメントが行う仕事と必要とされる能力が違うと言います。
それはすなわち、生産プロセスが変わる(例えば、個別生産から大量生産へ移行する)場合には、マネジメントに要求される仕事と能力が変わるわけですから、マネジメント自身がその要求に応えるように変わらなければならないということを示しています。
さらにこのセクションでは、人のマネジメントについてもそれぞれの生産システムは要求するものが違う、と続いています。
「個別生産では通常、景気によって労働力を調整することができる。旧型の大量生産では、働く人の技術水準は低く、雇用の安定を強く求める。ところが新型の大量生産とプロセス生産のもとでオートメーション化している企業の場合には、企業自体が雇用の安定に努める。」
このように、マネジメントの仕事、能力、人のマネジメントの仕方は、生産プロセスに合わせる必要があるのです。
2013/6/30