健全な組織は定義が困難である。しかし、不健全な組織の症状は指摘できる。それらの症状を認めたときには、組織の構造を調べなければならない。必ずや正しい組織構造の原則が守られていないことを知る。
組織の不健全さの症状の一つが、マネジメント階層の増加である。あるいは、目標の低さ、無能の放置、権限の集中、活動分析の欠如である。あるいは、摩擦回避のための間接費の増大である。すなわち、調整役、促進役、補佐役の増加である。
深刻かつ体質的ともいうべき疾患として、マネジメントの年齢構造の偏りがある。高年者ばかりのマネジメントも危険だが、若年者ばかりのマネジメントもまた同じように危険である。高年者ばかりのマネジメントはかなり早く自然消滅する。だが若年者ばかりのマネジメントは、その次の世代にはいつまでも昇進の機会がない。
最大限に連邦型組織を導入し、機能別の活動に分権化の原則を適用することによって、組織の構造を改革するならば、必ず業績は改善される。なぜならば、それまで窒息状態におかれていた優秀な人たちが、適切な仕事を効率的に行うことができるようになるからである。
本章の結論として、正しい組織構造とは、「最大限に連邦型組織を導入し、機能別の活動に分権化の原則を適用する」ことであるとまとめられました。
組織の不健全さとして、年齢構造の偏りを指摘されています。これは組織構造だけを見てもわかりづらいのですが、自らの属している組織であればマネジメントの人間が何歳なのかはすぐわかります。
バランスのとれた年齢構造にしておくことは、「経験を提供してくれる高年者と、活力を提供してくれる若年者」の両方を得て、新陳代謝を適切に行い、組織を維持する上で必要なことだと述べているわけです。
本章の最後に、「優れた組織の構造といえども万能ではない。また、組織の構造だけがマネジメントを行ううえで意味のある重要な問題であるわけではない。しかし、正しい組織の構造は不可欠の土台である。この土台なくしては、マネジメントの領域におけるいかなる仕事ぶりも成果をもたらしえず、失敗に終わる。」としていますので、誤った組織構造は早急に修正しなければならないということです。
2013/8/22