大企業や巨大企業における第一の問題は、CEOの仕事の組織化とその範囲の決定である。CEOの仕事は何か。いかにそれを組織するか。いかなる意思決定を行うか。
大企業、特に巨大企業における第二の問題は、マネジメントが内輪の存在となり、独善的かつ自己満足に陥りやすくなることである。もちろん経営管理者の間には、組織の文化、緊密な仲間意識、自社に対する誇りと信ずるものについての誇りが必要である。しかしこの組織の文化は成果をあげられないことに気づかなかったり、外の世界を馬鹿にするようになってはならない。堕落を招いてはならない。
対策は一つでは足りない。まず、社外の熱心で有能な人たちからなる独立した取締役会をもつことである。さらに、マネジメントの人間を外に出し、他の企業や職業の人たちと会わせることである。
外部の空気に接し、挑戦と刺激を得るための簡単で効果のある方法は、社外から人材をスカウトし、マネジメントの重要な地位に就けることである。
さらに重要な対策は、組織の中の人たちの生き方を変えさせることである。仕事オンリーの人間は視野が狭くなる。組織だけが人生であるために組織にしがみつく。いまや企業は、従業員を会社人間しておくことが、本人のためにも企業のためにも危険なことであり、いつまでも乳離れできなくさせるおそれのあることを認識すべきである。
第一の問題について、「この問題に取り組むための方法は既に述べた。」と述べています。正しい組織構造を考え導く(第17章)ことであったり、CEOチームの役割分担を決めたり(第14章)することであり、また、活動分析、意思決定分析、関係分析(第16章)を行うことです。
第二の問題について、面白い例があげられています。
「巨大化するほど表面積に対する体積に比率は大きくなり、内部の細胞が外部に接触しにくくなることは生物の法則である。したがって、生物は大きくなるほど、呼吸、発汗、排泄のために特別の基幹を発達させる必要が出てくる。企業もまた生物と同じようにこの法則のもとにある。」
社内の会議ばかりをやっているトップマネジメントや社内調整に勤しむ役割のマネージャーを、外部と接触しない細胞にたとえています。企業が大きくなるために内部の活動は必要ですが、そればかりではいつか滅びてしまいます。企業は滅びずに生きながらえていかねばなりませんから、外部との交流が重要なのだとしているのです。
2013/8/28