大量生産とは、均一の部品から、多種あるいは少種の製品を大量の組み立てることである。大量生産は工業化社会における典型的な生産システムとされている。
ヘンリー・フォードが「黒であるかぎり何色の自動車でも手に入ります」と言ったのは冗談ではなかった。かれは均一な製品の生産者として大量生産の本質を表現しようとしたのだった。しかし、そのような旧型の大量生産の考えは誤解だった。
まさに他のいかなる生産システムよりも多様な製品を生産できることこそ大量生産の神髄である。大量生産の基本は均一な製品の生産にあるのではない。多様な製品に組み立てる均一な部品の生産にある。
この新型の大量生産を適用するには、製品の多様性の基礎にあるパターンを発見するための製品分析が必要である。そうして初めて必要最小限の部品によって最大限の種類の製品を組み立てることが可能となる。
新型の大量生産の適用は簡単ではない。マーケティング、技術、経理、人事、購買などの機能別部門に対して多くを要求する。しかもこの生産システムは、設備の稼働率を一定に保ちつつ、3か月、半年、あるいは一年半という長期の生産周期に合わせて動かされるために大きなリスクを伴う。したがってこの生産システムは、新しい会計の手法を必要とする。
タイトルにある二つの大量生産とは、均一の製品を作ろうとする旧型と、部品を共通化して製品を多様化する新型のことを指しています。
フォードは、均一の製品製造こそ大量生産の本質だと考えていたが、結果的に見るとそれは誤りだったと言っています。
多品種少量の個別生産から規模が拡大して、多品種多量の大量生産に移行していく過程では、製品自体の分析や部品の共通化を図っていくような詳細な分析が必要になりますが、それによって新型の大量生産を移行できると、そのコスト削減効果は顕著なものになります。
したがって、大量生産は、少品種多量の大量生産ではなく、多品種多量の大量生産がその神髄だと言い切っているのです。
2013/6/27