企業とは何かを理解するには、企業の目的から考えなくてはならない。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。
企業が何かを決定するのは顧客である。財やサービスへの支払いを行うことによって、経済的な資源を富みに変え、物を商品に変えるのは顧客だけである。企業が自ら生み出していると考えるものが重要なのではない。
顧客が企業の土台として企業の存在を支える。顧客だけが雇用を創出する。社会が企業に資源を託しているのは、その顧客に財とサービスを供給させるためである。
「企業の目的は顧客の創造である。」ドラッカーの数ある名言の中でも、トップクラスの有名な言葉です。
企業と訳されていますが、原文はbusinessなので、企業に限らずすべての事業にも通じる話と考えてよいと思います。
その事業の生み出す財やサービスを使う人(顧客)に対して、その欲求を充足させる、あるいは欲求を意識させてそれを充足する、ということによって市場を作るということです。
「顧客の創造」は、顧客価値の創造、顧客が価値と感じているものを提供すること、と言い換えても良いでしょう。
ドラッカーは、企業は社会に存在を許されている存在であると考えていたので、企業が保有する資源は、社会に益を与えるために託されているのだと述べているのです。
2013/5/27