二つの言葉が「組織の文化」を要約する。その一つはアンドリュー・カーネギーの墓碑銘である。「おのれよりも優れたものに働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」
もう一つは身体障害者雇用促進キャンペーンのスローガンである。「重要なことは、できないことではなく、できることである」
経営管理者を動機づけ、彼らの献身と力を引き出すもの、彼らが最善を尽くすか適当にこなすだけに終わるかを決定するものは、組織の文化である。
組織の良否は、人の強みを引き出して能力以上の力を発揮させ、並の人に優れた仕事ができるようにすることができるかにかかっている。同時に、人の弱みを意味のないものにすることができるかにかかっている。
優れた組織の文化は人の卓越性を発揮させる。卓越性を見出したならば、それを認め、助け、報い、他の人の仕事に貢献するように導く。そして組織全体の能力と仕事ぶりの絶えざる向上をもたらす。昨日の優れた仕事を今日の当然の仕事に、昨日の卓越した仕事を今日の並の仕事に変える。
第13章は、第11章の自己管理による目標管理、第12章のマネージャーの仕事を適切に組織することができても、一人ひとりがなすべきことを実行していくためには、組織の文化が必要だというところから始まりました。
「企業の目的は顧客の創造である」に要約される顧客への貢献を通して組織全体で社会に対して貢献する、成果を上げ続けることが企業の責任です。そのために、様々な人を集めて組織で活動を行います。
一方、組織に属する一人ひとりは仕事を通じて社会に参加し、貢献する責任を負うことで、自由になれるとドラッカーは考えました。すなわち組織は、個人と社会をつなぐ公器だと考えたのです。
ドラッカーは、「組織は成果を出すために天才を頼ることはできない。天才は稀であり、手に入れられるかどうかがわからないからだ。」と言います。
そのため、組織を構成する一人ひとりが持つ異なった強みを組み合わせて全体の成果に結びつけることが組織に求められていることです。それができることが優れた組織であり、優れた文化を持つ組織だといえるということです。
2013/7/19