自らの仕事の設計に参画すること以外にも、マネジメント的な視点を獲得する方法はある。マネジメントの実際の経験を得させる方法の一つとして、職場コミュニティでリーダーシップを発揮させることである。
あらゆる企業に、一従業員でありつつ、マネジメント的な視点を獲得する機会がある。すなわち、事業活動とは別の職場コミュニティに関わる活動への参加である。それらの活動もまた、誰かによってマネジメントされる必要がある。
例えば、赤十字の献血、クリスマスパーティー、交代勤務のスケジュール作成、職場安全活動、社員食堂、従業員向け社内報に関わる活動などで、事業上はさして重要な問題ではない。しかし仕事としては大きな責任を伴う。特に従業員にとっては職場生活に大きな影響を与えるが故に大きな意味をもつ。
最高の仕事を引き出すためにマネジメント的な視点を持たせることが必要だとしましたが、仕事の設計に参画するというのはそれほど機会が多いわけではありません。また、マネージャーへの昇進も同様にマネジメント的視点を養うために企業がとることのできる手段です。しかし全員にその機会を与えるわけにもいきません。
そのため、それ以外の機会として、職場コミュニティへの参画や運営に携わることで、リーダーシップを発揮するようなことを通して、仕事への動機づけともなるのだとしたのです。
本章では、働く人への動機づけの手段として、①正しい配置、②高い基準、③自己管理のための情報提供、④マネジメント的視点獲得への機会の提供という4つについて解説してきました。
ぜひ、これらの手段を実践することによって最高の仕事を実現してほしいという願いを込めて、本章は次のように結ばれています。
「すでにわれわれは、今日目標としていることが実現され、今日宣言していることが歴史となることを期待してよいだけの十分な理由を持っている。」
さぁ、あとはやるだけだよ、と背中を押している感じでしょうか。
2013/9/28