少年の幸せ

彼の様子がおかしいのは、少し前から気付いていた。その原因が何かということも、それからさほど時間をかけずに気付いた。彼の中にいるらしい神が、彼を言いくるめて邪なことをしているらしい。気弱で、人の言うことに反論できない彼のこと、大方言いくるめられてしまっているのだろうと思った。でも、その内容が内容だけに、どう切り出したものか。

それにしても、最近のは度を越しているというか、そのうち私以外の仲間たちにも気づかれそうなくらい露骨になっていて、状況はそれなりに切羽詰まったものになっていた。どうにかして、諌めなくてはならない。それが出来そうなのは私くらいのものだろう。

もどかしいことに、私以外の仲間たちは、あまり彼のことを気遣うことがない。メンバーの中でも幼く力のない彼のことを、特にセプーの二人は厳しい目で見がちだし、女性陣はそれぞれ別の相手にご執心(片方の相手が私であるのは不本意ではあるのだが)だし、レッドフォットの老人は、彼を危険視して憚らない。彼の中にいる神様ごと、どう接していいかわからない相手、という扱いにしているのかも知れなかった。彼らがそれに気付いているのか、気付かない振りをしているのか、それはともかく、いつの間にか、彼がどうにか自分から話しかけられる相手と言えば、私くらいのものになっていた。

周囲に流されて望まない道に進まざるを得ない、そんなやるせなさはわかっているつもりなのだけれど、それを強要されるには、彼はまだ若すぎると思う。そんな、同情心もあって、私は彼の面倒を見ていた。彼は彼で、それを親切心だと思って、私に懐いてくれている。それは、素直に嬉しい。危なっかしくて放っておけない彼のことを、私は微笑ましく、弟でも出来たような気持ちで見ていたのだから。だが、それだけに、この状況は非常に悩ましかった。

彼のことだから、きっとギグに命じられるまま、事に及んでいるのだろう。それがバレているということを知ったらきっと少なからず傷つくし、私と話をするのも辛くなるかも知れない。そうなっては欲しくないのに、どうにかする方法なんて、思いつかなかった。

やんわりと伝えようが、きっとギグが過剰に煽って、一層酷いことになるのは目に見えている。直接的に伝えたら……言わずもがな、彼が孤立するだけで、どう考えても良い方向に転ぶとは思えない。

そんな状態で、隣の部屋から彼の苦しげな――あえて苦しげな、と評しただけの――声が聞こえてきたら、もうこれが最後のチャンスに近いのでは、という気になった。流石に外でしている時に指摘するのは憚れるが、珍しくドリーシュの屋敷で、各自が個室で休んでいる今なら、まだ幾分かマシだ。恐らくは。

そして彼の部屋のドアの前に立ち、ノックをするべきか、黙って入るべきか悩んで、結局無言で入ってしまった自分を殴りたい。何をしていたかなんて、わかっていたのに。せめて体を隠す時間を与えるべきだった。

「何をしているんですか、貴方」

見ればわかることを聞いてしまったのは、それが余りに想定外過ぎたせいだ。まさか後ろの方でしているとは思わず、震えそうな声でそう言うと、彼は慌てて体を隠した。

鍵をかけずにそんなことをしていたということにも驚いたが、彼がそっちでしていたことの方が驚きだった。そして、ランプのぼんやりしたオレンジ色の光に照らされてなお白い肌が、細く華奢な体躯が、快感で桃色に染め上げられて、高く細い声を上げる姿が、余りに卑猥だった。

彼になんと声をかけたら正解なのか、わからない。私は自分で思っている以上に混乱していた。口から出た言葉が、全て見なかったことにして、形ばかり諌めるだけの言葉なのが良い証拠だった。

「……年頃なのはわかりますが、もう少し声は抑えたほうが良いですよ」

一刻も早くここから立ち去りたい。そうでなければ、目の前のいやらしい子供に触れたくて、この手で弄って、私だけのものにしたくてたまらなくなってしまう。バレてしまったというのに、楽しげに笑うギグと二言三言言葉を交わして、足早に去ろうとしたのに、ギグは私に甘美過ぎる誘い文句を吐いた。

「……折角だから、味見していかねェか」

味見。その言葉が示す意味が何なのかわからない程、私は馬鹿ではない。彼の体を食らって良いと、そう言う意味に違いなかった。

「……私に、そんな趣味が有るように見えますか」

開けようとしていたドアを閉め、鍵をかけた。

「さァてな、それは知らねェが、悪くないだろ? こいつも」

「……嘘、嘘だよね」

ゆっくりと彼の方に近づきながら、シーツに包まって体を隠した彼を見つめる。潤んだ瞳。上気した頬。私を見つめる、嫌われたくない、という視線。どんなことをしていても、嫌う訳はない。今まで彼の面倒を見て、支えてきたのは、決して義務感や同情心からだけではない。けれど、彼を性的な目で見たことなどなかった。そのつもりだった。なのに。

「やだ、やだよ……! リタリー……リタリーはそんなことしないよね?」

泣きそうな、というより、ほとんど涙が溢れる寸前と言った表情で、私に許しを乞う彼を見ていると、心の奥に押し込めていた何かが、溢れ出てきてしまう。その、私を信じたくて仕方ない、という表情を、壊して、泣かせてしまいたい。

「……私も、男ですからね。据え膳喰わぬは、と言いますし」

自分の口からそんな言葉が吐かれるとは思わず、自分でも驚いた。その癖、妙に冷めた頭で、白い羽織を脱いでベッドサイドの椅子に掛けた。

「そ、んな……」

シーツに包まって震えている彼は、信じていたものに裏切られた、そんな絶望を貼り付けた表情をした。昼間、必死に私について歩いて、笑っていた彼を思い出す。あの時は、こんな目にあうとは露ほども考えなかっただろう。自分が今、どんな顔をしているのか、知りたくもない。

「貴方は危なっかしくて見てられませんからね、たまにはおしおきでもして差し上げましょうか」

おしおき、何を馬鹿な。自分でもそう思う。彼を弟のように思っていたのではなかったのか。危ういところは、支えたいと思っていたのではなかったのか。

そんな建前や理屈などはもう、どうでも良かった。本心はと言えば、彼を「私が」蕩かして、溺れさせたいという欲求だけになっていた。

シーツを無理矢理剥がして露にした彼の体は、青白いと言っていいくらいに青ざめていて、部屋に入った時点とは比べ物にならないような状態だった。これを、私の手で染め上げてやれたなら、どれだけ快いだろう。

軽く体を撫でてやると、彼は体をびくびく反応させて悦んだ。そうされることを本心では望んでいるのではないかと思う程。軽く乳首を舐めただけで、彼は高い声を上げた。その頃には、ギグに問われるまでもなく、彼の体を弄るのが、たまらなく楽しくなっていた。

彼の口から、もっとして欲しいと言わせると、私は、きっと一人では出来なかっただろう刺激を与えてやろうと、そこら中を舐めて、吸い上げてやろうと決めた。

「ねえ、あまり大きい声を出してしまうと、また誰か来るかも知れませんよ」

そう耳元で囁いて、舐めただけの乳首を軽く吸い、甘く噛んで、固くなったところをまた吸い上げると、彼は身をよじって声が漏れるのを耐えた。全く、素直で可愛らしいこと。

肋の浮いた弾力のない胸なのに、指を滑らせるのが心地良い。子供らしい高い体温と、力を込めたら壊れてしまいそうな頼りなさ。こんな細い体で、良くもまあ、あんな大剣を振るえるものだと感心する。今にもバラバラになりそうなくらい無理をしているのに、前線に出て戦って。もっと自分を労って、周りに頼っても良いのに。いや、今はそんなことは良い。この体を、もっともっと愛でなくては。

「いやらしいですね、ここをこんなに固く、大きくして」

「やだ……言わない、で……ッ」

指でぐりぐりと押しつぶしたり、摘んだりして弄ってやると、彼はまた体を跳ねさせた。自分でもしているだろうけれど、人にされるとまた違った感覚なのだろう。さて、次はどこを触ってやろうか。自分では触らなさそうなところが良い。ああ、そうだ。

「……?」

「これは邪魔ですね」

私は、彼の首にかけられたそれに、そっと手をかけた。サイズの合っていないそれはすぐに外れ、彼の首元がさらけ出される。浮いた鎖骨。舐めたらきっと可愛らしく鳴くだろう。でも、その前に。

「……後ろを向いてください」

「え……?」

「ほら、良いですから、ね?」

怪訝な顔をする彼に、無理矢理後ろを向かせると、私は彼をベッドに押し倒した。

「やっ……! 何、するの」

抗議する彼の声を無視して、両の腕を掴む。後ろで交差させ、先ほど取り上げた首輪できつく拘束した。これが前から気に入らなかった。まるで誰かの所有物のよう。細い首に似合わない拘束具をかけられて、実際は苦しくはないとはわかっていても、それでも窮屈そうで。それならいっそ、私が彼を捕らえて、身動き取れないようにしてやろうじゃありませんか。

「……良い趣味してんじゃねェか」

「それはどうも」

そんな私の本心を知ってか知らずか、ギグは私を褒めた。彼は、枕に顔を埋めていて、どんな顔をしているのかわからない。泣いているかも知れなかった。

「さあ、もっと可愛がってあげますからね」

彼の体を起こして、足を開かせて座らせた。彼は俯いたまま、何も言わない。そっと顎に手を添えて顔を上げさせると、涙まみれの顔が私を見た。

「なんで、こんな酷いことするの……やだよお……」

ちくりと胸が痛む。彼のことだから、何を考えているのかは大体わかるつもりだ。今まで面倒をかけてきてごめんなさい、はしたない子でごめんなさい、もっと頑張るから酷いことしないで、お願いだから元の優しいリタリーに戻ってよ、そんなところだろう。そんなことを考える必要なんてないのに。

私は彼の濡れた頬をそっと撫でると、小さな子供をあやすように言った。

「……泣かなくても良いんですよ。私は、貴方が可愛くて仕方ないから、こうしてるんです。貴方は何にも悪くないんですよ」

「なに、それ……そんなの、わかんないよ……」

可愛いからいじめたい。そんなある意味幼い感情を、彼は理解出来ないらしい。それはそれで構わない。そんなところも、愛しいと思う。

「ぅあ、あ……ッ」

私は彼の細い首筋に、軽く歯を立てた。彼は背を反らせて声を上げる。手を自由に動かせたなら、きっと抵抗されていたに違いない。痛くないように、そっと柔い幼い肉を噛んで、薄い皮膚を吸い上げた。こんなところに跡をつけてしまったら、首輪をつけていても隠せないだろう。バレないように諌めるつもりが、跡をつけてしまうなんて、私は本当におかしくなっている。

口を離すと、薄明かりの中でもわかるくらい、細く白い首に赤い跡が残っていた。それに、口では嫌がっていても、彼自身はそうでもないらしい。

「ふふ、仕方のない人ですね。嫌だなんだと言っておいて、ここはちゃんと大きくしてるじゃないですか」

「あ……やだ、見ないで……」

広げられた両足の中心はしっかりと反応していて、先端には蜜が滲んでいた。でも、まだそこには触ってやらない。お楽しみは後に取っておかなくては。

「もっともっと可愛がってあげますから、そこはまだおあずけですよ」

私はそう言うと、彼の耳朶に舌を這わせた。自分で触れることはないだろうそこを丹念に舐めて、耳の中に舌を差し込むと、彼は一際高い声を上げる。徐々に声を抑えられなくなっているらしい。

可愛らしい声だが、余り大きい声を出されては厄介だ。私は彼の唇に自分の指を押し込んで黙らせた。彼の口内の温く湿った感触と、ぬるついた舌が指を濡らしていく。

さて、湿らせた指をどうしてやろうか。そんなことは決まっている。でも今はまだ、私の舌で身を捩る彼の姿を堪能したい。さあ、今度はどこに吸い付いてやろうか。彼の細く上気した体を見て、私はごくりと唾を飲み込んだ。

わざと目立つような場所に吸い付いて、赤く跡を残してやると、彼は涙目になりながら、くぐもった喘ぎを漏らした。まだその白い肌を愛でているだけなのに、こうも泣かれてしまっては困る。私は彼の口から涎と涙で濡れた指を引き抜くと、彼の薄い唇に、自分のそれを重ねた。

わざと息をつこうとした瞬間を狙って、ぬるりと舌を差し込んでやると、彼は一瞬硬直したあと、激しく抵抗した。体を触られることよりも、唇を奪われることのほうが、彼にとっては堪えたらしい。子供らしいと言えば子供らしいが、可愛らしくて思わず笑みが溢れた。

抵抗しているとは言っても、両腕を後ろ手に拘束された状態では、出来ることなどたかが知れている。身を捩り、声にならない呻き声を上げる。それくらい。舌を噛むという発想は、彼にはないらしい。頬を掴んで引き寄せれば、そんな抵抗なんて全く意味を成さなくなった。

彼の熱い口内を味わいながら、舌を絡ませようと探るのだけど、するりと逃げていってしまって捕まえられない。それもまた、楽しかった。ようやく捕まえたそれを吸い上げて軽く噛んでやると、彼の体から力が抜けていくのがわかった。送り込んでやった唾液が、口の端からだらだらと溢れ、彼の胸を汚す。応えてくれないというささやか過ぎる抵抗もまた、可愛らしい。

「……嫌でしたか」

ようやく唇を開放してやると、彼は息を整えようと、荒く息を吐いた。確認するまでもなく、嫌だったに違いない。ぽろぽろと涙を零して、しゃくりあげている彼は、余程傷ついてしまったらしい。

「可哀想に、こんな風にされてしまうなんて思ってなかったんでしょうね」

自分でしておいて、何を言っているのか。私は彼の濡れた頬を拭い、そっと頭を撫でた。彼は私を睨むでもなく、ただ悲しそうに泣きながら口を開いた。

「……だったら、どうして」

「さっきも言ったでしょう? 貴方のことが可愛らしくて、好きでたまらないからですよ」

好きな相手にキスをすることの、何がおかしいのか。彼は彼で、私のことを憎からず思っていたはずだった。だったら、何も問題はない――そんな暴論を説くつもりはない。私の思う、好きという感情と、彼の中のそれは、天と地ほどの違いがある。その事実に目を瞑り、私は萎えかけてしまった彼のそこに、そっと指を這わせた。

「……さ、いい加減こちらも可愛がってあげましょうか。ちゃんと声を抑えていてくださいね」

湿った指先を、すでに薬で蕩けたそこに差し込んで、兆しかけたそこに舌を這わせてやると、それだけで彼は泣くどころではなくなった。随分と自分で弄り続けていたおかげで、そこは容易に私の指を飲み込んで、柔く締め付けてくる。まだ人差し指しか入れていないが、すぐにもう一本入れても問題ないだろう。だが、それは存分に焦らしてからだ。根本まで指を差し込んで、ゆっくりと抜き差しすると、彼はもどかしそうに身を捩って、唇を噛んだ。彼の細い指では、ここまで届かなかったに違いない。ひくりと彼の幼い性器が震えた。

「人から貰った薬を一人遊びに使うなんて、いけない子ですね」

「あ……だ、って……」

しょっちゅう怪我をしている彼を気遣って渡したのに。ベッドの上に転がった缶の中身は、半分ほどに減っている。恐らく本来の用途には使われずにいるのだろう。普通の傷薬ではあるが、ほんの少し、痛み止めも混ぜてある。確かに、こういったことに使うにはちょうど良いものでもあるのだが……。それにしても。すっかり薬が馴染んで、ぐずぐずに溶けている彼のそこを弄っていると、なんとも言えない気分になる。

「ここをこんなにとろとろにして、まるで女の子みたいですよ」

「うあ……っ」

わざと水音を立てて引き抜き、湿った指先を彼の目の前に差し出す。顔を赤くして、また目元に涙を浮かべて。もっともっと、羞恥でその顔を歪ませたくなる。

今度は一気に二本、人差し指と中指をそこに突き入れた。少しだけ抵抗があったものの、ずるずると中に入っていく。一体どれくらいの間、ここを弄っていたんだか。少しだけ呆れながら、ぐちゅぐちゅと音を立てながらそこを広げてやる。どこが彼の良いところなのか探りながら、と思っていたのだけれど、どこを擦っても、彼はびくびくと体を震わせて悦んでしまうのだから敵わない。こらえきれない声が漏れ出して、か細い喘ぎが部屋に響いている。

「すごい。ここ、こんなに柔らかくなってますね。本当に物足りなかったんじゃないですか? もっと欲しいでしょう?」

「あ、あ……う、そんなこと、な……」

「嘘つけ。昨日なんて指三本突っ込んであんあん言ってただろーが」

「おやおや、それはまた……最初からそう言ってくださいよ。これだけじゃ全然足りてなかったんですね」

彼の指と私の指では、太さを比べるべくもないのだが、それでも、指二本だけでは不足だったろう。あの、頼りなく純粋で、私に懐いてくれていた彼が、自分が思っていた以上にいやらしい体になってしまっていたことに失望と興奮を感じつつ、私はもう一本、指をねじ込んだ。

「んんッ、く、あ……ッ」

彼は体を反らせて息を呑んだ。どこを擦っても感じているようだが、一番反応が良いように見える場所を執拗に刺激してやりつつ、さらに中を広げるように指を動かした。もしかしなくても、こちらだけで達せるのだろうか。完全に勃ちあがったそこを見る限り、限界が近そうにも見える。

「ねえ、貴方、お尻だけでいっちゃう変態なんですか?」

耳元でそう囁いてやると、彼は快感に蕩けた顔をさらに赤くして頭を振った。

「あ、あ……いや、見ないで、やだ、だめ……ッ」

否定しない、ということはつまり、そういうことか。

「駄目ですよ。いくところ、ちゃんと私に見せてください」

「んっ、あ、だめっ、やめてっ、おねがい、だからぁッ!」

お願い。思えば、彼から我儘らしい我儘を言われたことはなかった。こんな形で初めてのお願いをされるとは、と苦笑する。当然、叶える気にならないお願いなのだけれど。

彼の中に入れた指を、さらに激しく動かしてやると、いよいよ彼の口から漏れる声が大きくなった。誰かにバレやしないかと心配になったが、構うものか。こんな可愛らしい声を我慢させたところで、不満が残るだけなのだから。

涙で顔をぐちゃぐちゃにしてはいるものの、それは半分以上快感から生じたものらしく、気持ち良くてたまらないという顔をしている。こんな顔を、ギグにだけ見せていたかと思うと、頭が熱くなった。こんな、いやらしく可愛らしい顔を、あの邪神だけが独り占めしていただなんて。私だけのものにしてやりたい。今はまだそうでなくても、彼の身体の隅々まで、私だけが触れられて、私だけが愛でられる、そんな状態にしてやりたい。

いやらしい音を立てて、言葉にならない声を上げながら、彼は白濁を吐き出した。まだ幼い性器からとろりと垂れるそれがシーツに染みを作っている。彼は荒い息を吐いて、か細い喘ぎを漏らした。

「あ……や、だって……言ったのに……ッ」

「……嫌じゃなかったでしょう? 気持ち良かったんじゃないですか?」

私がゆっくりと指を引き抜くと、そこは閉じ切らずに、物欲しげにひくついた。指だけじゃ、足りないはずだ。自身で出した液体で濡れそぼった性器をそっと撫で、先端に付着したままの精液を指ですくいとる。指先で弄りながら、もう一度乱暴に中に指を突っ込んで、中に彼自身の精液を擦り込んでやった。

「やだあ……ッ、もう、やめて……」

「いやらしいですね。ここはもっとして欲しいって言ってるみたいですよ」

いったばかりで敏感になっているはずなのに、指を入れた途端に、そこは嬉しそうに蠢いた。ここに入れるなという方が無理がある。

「ここ、入れても構いませんか」

「え……?」

すでに指を入れているのに何を、と、彼が素っ頓狂な声を上げる。残念ながら、貴方に聞いている訳ではないんですよ。

「……好きにしろって言っただろ?」

私の意図を明確に理解したらしい邪神は、楽しげに返事をした。ギグに取っての彼は、面白い玩具でしか無いのかもしれない。それはそれで、願ったりだ。

「……では、遠慮なくいただいてしまいますね」

私は彼をうつ伏せにさせると、優しく腰を撫でた。腰から臀部、太腿と、ゆっくりと指を滑らせる。

「な、なに……するの」

「さあ? 何でしょうね」

この行為の意味自体わかっていない、のだと思う。何もわからないまま犯されるというのは、どんな気分なのだろう。彼にとっては、気持ち良いことの延長でしか無いのかも知れない。それはそれで構わないか。私だけが、わかっていれば良い。

ギグに見られているというのは不本意だが、仕方がない。私は下履きを下ろし、彼の細い腰を掴んだ。

続く