ハッピーバースデー

三日くらい家を留守にする、という相棒の言葉に、オレは朝っぱらから完全に硬直した。

どうにかこうにか、何処に行くんだ、何をしに行くんだ、一緒に行ったらダメなのか、オレのことが嫌いになったのかよ、とまくし立てるオレに、相棒は苦笑いしながら、秘密、というたった二文字の言葉を返しただけだった。秘密にするようなことなんて、オレたちの間に無いだろうと思っていたのに。

三日後の昼過ぎに、リタリーの店に迎えに来て欲しいとだけ告げて、二人きりで暮らす家を出て行った相棒の背中を追いかけるのは簡単なはずなのに、オレはそうしなかった。無駄に高いプライドのせいでもあるが、何より、相棒が三日も変態料理人と二人きりで過ごすだろうという衝撃で頭が真っ白になっていた。

無理矢理転生して、半年程相棒と過ごして、一時的にまた融合したりと色々あったけれど、仲はすこぶる良好で、楽しくやっていたつもりだったのに。旅に出るのも楽しいけれど、ゆっくりと腰を落ち着けて過ごせる家まで建てて、転生して良かった、相棒と過ごす第二の人生最高過ぎると思っていたのに。ここに来て浮気疑惑とは。嘘だろ。

オレは手持ち無沙汰過ぎるのとあまりのショックに、ベッドの上へダイブした。相棒のいない時間をどうやって過ごしたら良いのか、オレには皆目見当がつかない。

起きていようと思えばいつまででも起きていられる。寝ようと思えばいつまででも。食べようと思えばいくらでも食べていられるし、逆も同じ。だから、オレの生活は完全に相棒に合わせたものになっていた。相棒はいつも何をしてたっけ? 飯を作ってくれたり、布団を干したり洗濯したり一緒に遊んだり……って、大体オレ一人じゃあ、しなくても良いことばっかりじゃねェかよ。

開けっ放しの窓から、そよそよと心地良い風が吹いてくる。天気は最高で、雲ひとつない青空。オステカの街へ、普段ならひとっ飛びで連れて行くのに、それさえ拒絶して歩いて行くという相棒。ふざけんなよ。そんなにオレを除け者にしたいのかよ。追いかけても良いのだけれど、それはなんだか負けた気がして、オレは大人しく目を閉じた。

死を統べる神ともあろう者が、こんなに良い天気だってのに、朝っぱらから惰眠を貪るとは。どんな冗談だ。どうせ見る夢なんて、相棒のことばかりだってのに。それなら、実際に一緒に過ごしていた方が良いに決まっている。

二度も融合したせいか、どこか深いところで繋がってしまっているらしく、オレが見る夢と、相棒が見る夢はいつも同じだった。寝ても覚めても一緒に過ごしているようで、それはそれで嬉しい……のだが。こうして物理的に離れてみれば、夢の中だけでしか会えない相棒が、なんだか酷く遠い存在に思えてくる。……結局、寝ようと思っても妙に目が冴えて眠れていないけれど。

相棒は今、どの辺を歩いているんだろう? 獣や野盗に襲われてはいないだろうか。あいつだってそれなりに武芸の心得はあるけれど、オレと一緒に過ごしているから、きっと腕前は鈍っている。比較的安全な道のりとは言え、やっぱり追いかけたほうが良かっただろうか……。でも、相棒がオレに秘密だと言った。追いかけてこっそり覗いたりなんかしたら、きっと怒られるに違いない……。

そんなことをぐるぐる考えながら、オレは窓から見える外の景色を眺め、そうしているうちに夕暮れになり、夜になり、飽きもせずに延々と相棒のことばかり考えていたことに気付いた。流石にもうオステカの街に着いているだろう。あの変態に変なことをされていないだろうか……いや、流石に相棒だってそこまで馬鹿じゃない。多分。

何も食べていないのに腹は空かないし、結局朝から晩まで昼寝もせずに起きっぱなしなのに目は爛々と冴えていて、久しぶりに神様らしい身体を実感しながら、オレは窓の外へ飛び出した。

クソッ、相棒がいないんじゃ、面白くない。一人は一人なりの時間の潰し方があるはずなのに、何も思いつけない。もやもやした気持ちを吹き飛ばすように、オレは何処へともなく飛び立った。

最初のうちは適当に夜空を飛び回って遊んでいたのだが、ふと思い立って、相棒と巡った場所を、一つ一つ、今度は一人きりで巡ってみようと思いついた。

相棒と旅をしていた時は、相棒の体の作りに合わせて、一緒にゆっくり歩いて回っていた。かなり長い時間をかけて巡っていた気がするのに、自分一人の力なら、それらを全部回るのに、二日もあれば十分だった。

伝説のホタポタを探しに行こうなんて、くだらない目標を立てて歩きまわったありとあらゆる場所へ、森の奥や砂漠のど真ん中、洞窟や高い山の天辺。あの忌まわしい峰も冷やかした。融合しながらエンドルフたちを探して旅をした場所も。どうにかして元に戻ってからは、いい加減何処かで落ち着きたいと話して、あの人里離れた森に家を建てたんだったな。

また、相棒と何処かへ行きたいもんだと思ったが、家の周りにこさえた畑。あれを相棒が放っておく訳もない。

世界中を飛び回って、相棒と過ごしたあれこれを思い出すと、段々と気分が晴れてきた。あれだけずっと、一緒に面白おかしく過ごしてたんだ。浮気なんてする訳ねェだろ。ざまあみろリタリー。オレと相棒に比べたら、てめェなんてただのごみ虫だぜ。

――と、思っていたが、リタリーと楽しげに話をしている相棒を見たら、オレはたちまち苛々してきた。随分と楽しく過ごしてたみてェじゃねえかよ。

「おい、迎えに来たぞ」

「あ、ギグ!」

不機嫌さを隠しもせずに相棒に声をかけると、相棒はオレの声色なんて意に介さず、待ってましたとばかりの笑顔でこちらを見た。

オープンテラスの店だが、今日は定休日らしく、客は一人もいない。厨房へとずかずかと上がり込み、大きな籠を抱えた相棒と、休みの日だというのにふりふりのメイド服を着ている店長の側へと駆け寄った。

「相棒、こいつに変なことされてねェだろうな」

「……何言ってんの、ギグ」

「する訳ないでしょう。貴方じゃあるまいし」

「ぁあん?!」

「ああもう、やめなよギグ」

リタリーに凄むオレを相棒が諌めて、仕方なく矛を収める。折角機嫌の良さそうな相棒をしょげさせても仕方ないしな。結局、特に何をするでもなく、オレと相棒は店を出た。茶ぐらい出せよと思わなくもないが、珍しく相棒が早く帰りたがったのだった。去り際、相棒とリタリーが何かこそこそと話していたようだが、どうでも良い。とっとと相棒と二人きりになりたかった。

昼過ぎのオステカの街は、人で溢れかえっていて賑やかだ。騒がしいとも言う。あちこちから客引きの声や大道芸人が奏でる音楽が聞こえて、いつもなら相棒と冷やかしたりもするのだけれど、今日ばかりはそうもいかない。また今度、相棒と一緒に遊びに来よう。オレは人気の無い裏路地へ移動して羽を広げた。

相棒を抱えて空を飛びながら、流れていく景色をぼんやりと見つめる。別にこれくらいの重さなんて殆ど感じないようなものだが、一人で好き放題かっ飛ばして飛ぶのとは違い、相棒を振り落とさないように、相棒が抱えた籠が吹き飛ばないように気をつけながら飛ぶのは、なかなか神経を使う。

何が入ってんだよ、と聞くと、相棒は、まだ秘密だよ、と笑った。まだ、ってことは、帰ったら教えてくれるつもりなんだろう。なんだよ、可愛いことしやがって。

黄昏色の空。家の前に相棒を下ろし、玄関のドアに手をかけた。そういえば、もう二日も空けたままだったっけな。窓も開けっ放しだ。怒られたらどうすっかな。

「ただいま、ギグ」

「……おかえり、相棒」

オレもだいぶ遠出してたんだけどな。相棒と一緒に家に入り、ランプの明かりを点けた。獣が入った様子はない。良かった。相棒は玄関のドアを閉めると、手に持っていた籠から小さな袋を取り出して、オレに差し出した。

「はい、これ」

「……んだよ、これ」

誕生日のお祝い。ギグが生まれ変わって、今日で一年なんだよ。相棒はそう言った。なんだよ、それ。受け取った赤いチェックの布で出来た袋は、甘い、見知った香りを漂わせている。オレの大好きな、果物の香り。

相棒の笑顔を呆けた顔で見て、袋へと視線を落とす。どうぞ、と言われて、かけられたリボンに手をかけた。袋の中身は、黄色い果実が載った菓子。艷やかな蜜で覆われて輝いていて、いかにも美味そうだった。

「折角だから、ギグに美味しいもの食べさせてあげたいと思って」

それで、リタリーに教わって作ってたんだよ。相棒はそう言った。早く食べてみてよ、そう促されるままに、一つ口に運ぶ。さく、と崩れていくパイ生地と、甘さ控えめのカスタード。上に載ったホタポタの爽やかな果汁がいい具合に調和している。あの変態料理人監修なだけあって、流石にうまい。

「……んまい」

「良かったあ」

オレの感想を聞くと、相棒は安心したように笑った。こいつ、オレの誕生日を祝うために、これをわざわざ作るために、こっそり一人で出かけてたのか。誕生日なんてオレだって忘れてたのによ。

「お前、オレの誕生日……って言って良いのかわかんねェけど、わざわざ覚えてたのかよ」

「そりゃあ、忘れられないよ」

また会えるなんて、思ってなかったから。そう言って、相棒はオレに抱きついた。

「お、おい……」

「生まれてきてくれてありがとう、ギグ」

ぽんぽんと頭を撫でられて、相棒の体温が暖かくて、こいつは本当に……どうしてこうなんだかな。オレと同じ大きさのはずの手のひらが、なんだか大きく感じる。なんでこうも、人に優しく出来るんだ。

孤児として拾われたと聞いているし、相棒はきっと、自分の誕生日なんて知らないだろうし、祝ってもらえたとしても、それは誰かの誕生日のついでだったりしたんだろう。その癖に、オレの誕生日は祝いたいと思って、自分なりに考えてこうして慣れない菓子なんかを作ってくれたなんて、どれだけ優しいんだよ。

「……ギグ?」

「ああーッ! もう! うるせえ! オレにもなんか祝わせろ!」

「えっ、ちょっと、何、どうしたの」

相棒の体を思い切り抱きしめ返して、自分にされたように頭をがしがし撫でてやると、相棒は驚いて困り顔になった。このオレが相棒に一方的に祝われるなんて、そんなの我慢出来るか! 誕生日がわからねェって言うんなら、今日で良いだろ、もう。オレと一緒なら文句ねェに決まってる。

「おい、リタリーから作り方聞いて来たんだろ? オレも同じの作ってやるから教えろ相棒!」

「ええー……材料的に無理……でもないけど、一人だと自信無いよ」

「いいんだよ! 一緒に喰うんだしよ」

「えっ……気持ちだけじゃダメなの?」

「ああ? そんなんじゃ収まりがつかねェよ」

相棒だってそこまで料理がうまい訳でもないのに努力した訳だし、こっちも口頭だけで祝うのは対等じゃない。だというのに、相棒は気まずそうに視線を泳がせて、恐る恐る口を開いた。

「……いや、正直ギグの料理ってテロいっていうか……」

「んだよテロいって」

「……控えめに言って毒物っていうか……」

毒物……毒物だあ? まあ確かに毎回よくわからん黒い塊になるが、死んでねえんだから毒じゃねェだろ毒じゃ。この野郎。絶対に見返してやる。

「……言ったな」

「え?」

「見てろよ、絶対相棒のよりうまく作ってやるからな」

オレがそう言うと、相棒は青ざめた諦め顔になった。こいつ、絶対期待してねェだろ。

「う、うん……期待しないで待ってる……とりあえず一緒に夕飯作ろうか」

「おう」

先に祝いの菓子を食ってしまったが、もうすぐ夜だ。夕飯時だし、たまには一緒に食事を作るのも良い。お互いの誕生祝いなことだしな。

外の畑から採ってきた葉を千切って皿に盛り付けたり、他にも相棒がリタリーの店から分けてもらった下ごしらえ済の食材を煮たり焼いたりして、食卓は段々と豪勢になっていく。その横でオレは相棒の指導に従って菓子を作っていた。工程が面倒臭すぎるんだが、これをちゃんとこなしてアレを作ったなんて相棒は思ったより凄いんじゃねェかと思う。なんだよとろ火って。

夕飯の支度も佳境に入り、オレは鍋の中をかき回す相棒と並んでキッチンに立っている。鍋の中には、程よく煮こまれつつある鶏のスープが入っていた。オレは木ベラで卵と粉と牛乳と砂糖が混ざった何かをかき混ぜている。いつまでやってりゃ良いんだ、これ。これができたらあとは生地の上に載せてオーブンに入れるだけらしいが。

料理しながら、相棒は、自分がいない間、オレが何をしていたかを尋ねた。非常に返答に困ったが、恥ずかしいとは思いつつ、相棒と旅をしていた場所を一人で巡って歩いたと答えると、相棒はころころと笑った。なにそれ、寂しいじゃない、だと。こいつオレが絶対に相棒に危害をくわえないって分かってて歯に衣着せないことばかり言いやがる。

「エンドルフにも挨拶してきた?」

「するか! どうせ家族でよろしくやってんだろ。なんてったって真実の愛をお持ちの痒いカップルなんだからよ」

「……そうだね。そのうちまた、ギグとあちこち旅したいな」

「畑はどうすんだよ、畑は」

「うーん、冬になったら野菜も育たないし、その間なら大丈夫だよ」

「……そうかよ」

「うん。あとギグそれ火通しすぎだからね」

「ああ?! お前それ早く言えっつの!」

かなり固くなって香ばしい匂いがし始めたそれを、慌てて火から下ろす。ああクソ、今までに比べたらかなりまともに作れてたってのに!

「うーん……ギリギリ大丈夫だとは思うよ。じゃあ生地の上に載せようか」

「お、おう……本当に大丈夫か、これ」

「多分ね。俺が初めて作ったやつより美味しいかも」

「本当かよ!? やっぱりオレ才能あるんだな」

「……うん、そうかも」

何だよその顔は。

オーブンにどうにか形を整えた菓子をぶち込んで、相棒に指示された時間をセットして、オレたちは食卓についた。すげえ。リタリーの店の食事と殆ど変わらない気がする。

「早く食べようぜ」

「あ、待って。もう一つ、良い物があるから」

相棒は席を立ち、籠の底にあったらしい瓶を取り出した。妙に高級そうなラベル。もしかして。

「リタリーから。一緒にどうぞってさ」

グラスを二つ。それに注がれた瓶の液体は……。

「お前それ、クッソ苦い不味いやつじゃねェかよ!」

「いやいや、これは大丈夫だよ。甘いやつなんだって。匂いも嗅いでみてよ」

差し出されたグラスを受け取って、すんすんと嗅いでみる。確かに、甘い……ホタポタの匂いがする気がする。色もホタポタの実と同じ、黄金色。

「折角だから、ね。乾杯しようよ」

「おう……本当に大丈夫か、これ」

なんとなくまだ疑いが晴れないが、大丈夫だろう、多分。不味かったら捨てりゃあ良いしな。リタリーは後でシメる。

相棒がグラスを掲げたのに合わせて、自分もグラスを掲げた。

「誕生日おめでとう、ギグ」

「……相棒もな」

ちん、とグラスが重なった澄んだ音が響いたと同時に、相棒が笑い出した。

「なにそれ、いつの間に俺の誕生日が今日になったの」

「良いだろ別に、一緒で」

「……そう、だね。そうかも。それが良いな」

「だろ? ほら、食べようぜ。冷めちまう」

「うん」

グラスの中身を一息で飲み干して、オレたちはテーブルに並べられた夕食に手を付け始めた。実質二日ばかりとは言え、リタリーの下で修行した相棒の料理はやたらと美味かった。あれこれ話しながら食べていると、絶対作りすぎたと思っていたのに、鍋の中身はいつの間にか空になっていた。しかも貰った瓶の中身は甘くて美味かったし、相棒と一緒にあっという間に飲み尽くしてしまった。なんだったんだ、あの飲み物。

気が付くと何故だか相棒の顔は赤くなっていて、妙に機嫌が良くなっていた。かく言うオレも訳わからんが頭がくらくらするし眠い。食事も粗方食べ尽くした頃、オーブンからベルが鳴った。菓子が焼けたらしい。相棒と一緒に、甘いものは別腹だぜ、と言ってオーブンを開けた。おお、黒くねえ。

「美味しそうだね」

「おう、あとはなんだ、あの、上になんか載ってただろ、ホタポタが」

「……あ、ごめん。蜜無いからホタポタ載せるだけでいい?」

「おう」

相棒は怪しい手元でホタポタを切ると、焼き立ての菓子の上に載せた。やたらでかくないか、これ。半分に割っただけじゃねェかよ。まあいいか。

「じゃあ、いただきます。ギグ、ありがと」

「おう、毒じゃねェと良いがな」

二人で同時に菓子にかぶりつく。もう殆どホタポタみたいなもんだが、焼き立てなのもあって美味い。気がする。少なくとも毒とは程遠いはずだ。

「ん、美味しいね」

「おう、さすがオレだな」

「あはは、そういうことにしとく」

さっきは微妙な顔をしてた癖に、実際に食べたら気が変わったらしい。また作ってやるか。もう作り方覚えてねェけどな。

デザートも食べて、台所もテーブルの上も食器や調理器具でぐちゃぐちゃだが、これを片付けるかと思うと気が重い。

「もう、片付けるの面倒だね……もう寝ちゃおうっか」

「そうだな……オレももう、眠いわ」

二人揃ってあくびをして、寝室に向かう。開けっ放しだった窓から、涼しい風が吹き込んできていた。

ベッドに二人で飛び込んで、どちらともなく手を繋ぐ。そうなるべくしてなったように、ぴったり馴染む手のひら。星空が綺麗な、いい夜だ。

「……ギグ、おやすみ」

「ああ、また明日な」

「うん」

なんだかんだで疲れていたらしい。すぐに相棒からは規則正しい寝息が聞こえてきた。ここ三日ばかり寝ていなかったが、相棒は一体どんな夢を見てたんだろう。きっと、オレのことばかりを考えて過ごしていたに違いない。多分、オレが喜んでくれるかどうか、とか、そういう痒いことを考えて。

眠らなくて良かったな、と思う。相棒が考えていることを、夢を通して知ってしまっていたら、どんな顔をして相棒を迎えに行ったら良いかわからない。

相棒の穏やかな寝顔を見て、オレも目を閉じた。三日ぶりに、相棒と同じ夢を見よう。それはきっと、今夜と同じような、幸せで楽しい夢になる。

――誕生日、か。また来年も、その次も、ずっと。寿命がない癖に毎年祝うのも変な話だが、オレも相棒の誕生日を祝い続けたいと思う。生まれてきてくれてありがとう、なんて、痒くて死にそうな言葉を、来年はオレから相棒に言えたら良い。期待しないで待ってろよ、相棒。

終わり

wrote:2016-07-17