2025年度井上円了記念助成研究所プロジェクト

「東洋の思想・宗教と環境保護-森林保護と地球温暖化対策をめぐって-」

公開講演会

2025年7月29日(火)　15：00開催　

・対面（東洋大学　白山キャンパス内）・オンライン（GoogleMeet）

石坂　晋哉　先生

（愛媛大学・法文学部教授）

『インドの環境保護運動における断食と行脚』

本講演でご紹介するチプコー運動とは、インド・ウッタラーカンド地方の中山間地域に住む人々が、他地域の業者による森林伐採を阻止しようとした運動です。「チプコー」とは「抱きつけ」という意味で、木に抱きつくことで伐採を阻止するという戦術が用いられたことに由来します。1973年に始まったこの運動は、1981年の商業伐採全面禁止令により決着しましたが、同地方では現在にいたるまで、チプコー運動に関わった多くの活動家たちが、地元社会の直面する森林・環境・農業等をめぐる困難な諸課題に取り組み続けてきています。チプコー運動についてはこれまでさまざまな議論がなされてきましたが、本講演では、この運動のキーパーソンの一人であったガーンディー主義者スンダルラール・バフグナー（1927-2021）が行った「断食」と「行脚」という実践に焦点を当てて、その思想・宗教的意味を考察するとともに、インドの環境保護運動のパワーの源泉を探りたいと思います。

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