東洋思想における心身観
東洋思想における心身観
研究調査活動
残念ながら昨年度に引き続き、今年度も国際情勢の不安定化と頻発する事件、外務省による危険地域への渡航延期勧告及び注意勧告に伴い、グジャラート州におけるアーユル・ヴェーダ関連の調査など、インドでの研究調査を見合わせることになった。
分担課題「中世仏教文学における心身観」にともなう調査
高城 功夫 研究所員
期間 平成14年11月15日~11月18日
調査地 香川県高松市・善通寺市・高知県室戸岬
最初の日は高松市内の見学調査で、西行の『山家集』の唯一の注釈書『増補山家集抄』の著者釈固浄の墓のある高松市三名町の浄土真宗来光寺を訪ね調査をした。日下利春著『さぬきの西行 固浄伝』あるいは、『漂泊の学僧 釈固浄』の出版物を探求するためであるし、讃岐の西行伝を調査する手がかりとするためでもあった。
2日目以降、善通寺周辺の弘法大師空海の札所と西行の心身観の遺跡を研究調査した。まずは弘法大師誕生の地善通寺の調査。五岳山を見、弘法大師御誕生の碑を見学、御影堂は大師堂で西行の立像も安置されている。この御影堂の傍に西行は滞在していたとされるのは弘法大師空海を慕ってのものである。玉泉院は西行がここに庵を構えたところであって、『久の松』の遺跡がある。玉の泉が弘法大師の遺徳としてあり、西行がこの泉を慕ったということも追跡することができる。そのあと水茎の丘、西行庵跡を見、さらに西行の歌にある筆の山を見て、弘法大師の出釋伽寺に大師信仰の追体験を考え、曼陀羅寺に西行笠掛桜を訪れ、大師に対する心身観の跡を調査。次に室戸岬はやはり弘法大師空海の遺跡であり、西行の追慕の跡である、最御崎寺、金剛頂寺を見学し、大師が悟りを開いたという御厨人窟と神明窟を尋ねた。総じて大師信仰の遺跡と西行の大師追慕の心身観の調査を行なった。