11月7日東洋学研究所プロジェクト「日本における先祖観の研究」パネルディスカッション

日時: 11月7日(土)午後3時(15時)より

場所:  東洋大学白山キャンパス 5号館1階 5104教室

プログラム
15時~15時30分
研究発表 祖霊信仰と供養をつかさどる機構
原田香織 研 究 員 (東洋大学文学部教授)
15時30分~16時
研究発表 奈良朝における先祖意識の一考察 ―『日本霊異記』に注目して―
菊地義裕 研 究 員 (東洋大学文学部教授)

16時~16時15分 休憩

16時15分~17時 ディスカッション

  発表要旨「祖霊信仰と供養をつかさどる機構」:
 室町時代、世阿弥能は、恩愛の情、ならびに血統をつなぐ先祖、墓、家の意識が思想的背景としてあり、作品化されたときに、それが供養という形式になっている。一方中世社会において、権力をもつ家や「名」こそが大切であり、こうした権威性を規範として構築することに政治的な力が注がれた。その結果、祖霊信仰は仏教行事を行いうる権力者の行為となり、供養は国家的な視点から為されることになる。この点で、室町時代の先祖観が、親子の絆など義理人情的な世界観を離れて、仏教的な権威により構築されたことがわかる。

  発表要旨「奈良朝における先祖意識の一考察 ―『日本霊異記』に注目して―」:
 『日本霊異記』には死者ゆかりの報恩譚や蘇生譚が見られる。それらは死者の側から現世を相対化した説話である。それらの説話では、在来の喪葬祭祀を基盤に因果応報の理によって現世における善行が説かれる。ただしその善行は、仏教的功徳を除けば、律令制の社会を反映して儒教の徳目の実践として把握される。その点で、善行が家、先祖と結びつくのは、個人の輪廻転生の思想とは一線を画して儒教思想においてであり、在来の民俗慣行と儒教思想との接点に奈良朝の先祖意識は形成されたと考えられる。

※東洋大学東洋学研究所では、中里巧研究員を研究代表者とする研究所プロジェクト「日本における先祖観の研究 ―古来の先祖観とその変容―」が平成25年度より3年間の計画で行われています。今回のパネルディスカッションはこのプロジェクトの一環として開催されるものです。

*入場無料・予約不要 皆様のご参会をお待ち申しあげます。

お問い合わせ先:東洋大学東洋学研究所(東洋大学白山校舎2号館5階)
〒112-8606 文京区白山5-28-20 Tel 03-3945-7483 FAX 03-3945-7483