東洋学研究所 11月28日研究所プロジェクト・パネルディスカッション

日時: 11月28日(土)午後2時30分(14時30分)より         

場所:  東洋大学白山キャンパス 5号館1階 5102教室

プログラム
14時30分~15時
研究発表 日秀上人のみた風景 ―補陀落、常世、他界観―
大鹿勝之 客員研究員
15時~15時30分
研究発表 葬制の変化と両墓制の現在――三重県の事例から
川又俊則 客員研究員(鈴鹿大学短期大学部教授)
15時30分~16時
研究発表 無垢・子どものこころ・死者のためのとりなしの祈り
中里 巧   研 究 員(東洋大学文学部教授)

16時~16時15分 休憩

16時15分~17時 ディスカッション 

 発表要旨「日秀上人のみた風景―補陀落、常世、他界観―」:
 16世紀に活動した日秀上人は、補陀落渡海を試み、富花津(沖縄県国頭郡金武町の福花の港)に漂着したといわれる。『琉球国由来記』巻十一の金峰山補陀落院観音寺縁起には、日秀上人は、富花津に到って、誠に補陀落山をなしていることがわかった、どこに行ってこれを求めようか、錫を留めて安住しよう、この地霊は幸であることよ、と歎じている。観音菩薩の居処とされ、渡海僧たちが求めていた補陀落を日秀上人はどのようにみたのだろうか。今回の発表では、漂着したときに日秀上人がみた風景を、補陀落、常世、沖縄の他界観から考察する。

 発表要旨「葬制の変化と両墓制の現在――三重県の事例から」:
 岩田重則『「お墓」の誕生』2006年、森謙二『墓と葬送のゆくえ』2014年他、全国各地の現代の葬制や両墓制が述べられている。今回は中間報告として、特定地域における葬制の変化と両墓制の現況を、断片的だが三重県(および新宮市)で実施した実態調査から論ずる。火葬導入にともない、 焼骨を埋め墓へ埋蔵し、毎日、詣り墓へ参る人びとがいる。だが、次世代は同地におらず、今後の継承は困難な現況が、他の年中行事の継承と同様の課題であることが示唆された。

  発表要旨「無垢・子どものこころ・死者のためのとりなしの祈り」:
 黒姫童話館所蔵の私文書をとおしてミヒャエル=エンデの思想研究をおこなって、生者と死者の関係について云えることは、哲学的人間学の立場から、人間の心をどのように考えているか、ないしは人間像が大事だと云うことである。エンデは、「子どものこころ」を中核としてイマジネーションを拡張していった。「子どものこころ」と無垢の関係、人間の心のなかの神の座については、キリスト教正教の教義が詳しく語っており、死者のためのとりなしの祈りについて、聖体礼儀(礼拝)で、執行されている。イマジネーションや「見立て」ということ、また、想念やこころの本質について、生者と死者を繋ぐような近現代的人間のこころとは異なるような、こころについての概念を、エンデ・最新の童話研究・キリスト教正教の儀礼から紹介したい。

※東洋大学東洋学研究所では、中里巧研究員を研究代表者とする研究所プロジェクト「日本における先祖観の研究 ―古来の先祖観とその変容―」が平成25年度より3年間の計画で行われています。今回のパネルディスカッションはこのプロジェクトの一環として開催されるものです。

*入場無料・予約不要 皆様のご参会をお待ち申しあげます。

お問い合わせ先:東洋大学東洋学研究所
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