11月21日フレデリック・ジラール先生公開講演会
東洋大学東洋学研究所 研究所プロジェクト・公開講演会
「金春禅竹『六輪一露之記』の志玉注に見る華厳思想」
フレデリック・ジラール 先生
(フランス極東学院教授)
(Directeur d'études, École française d'Extrême-Orient)
日時: 平成27年11月21日(土)午後3時(15時)より
場所: 東洋大学白山キャンパス 6号館2階 6203教室
プログラム:
15時~16時 ご講演(日本語でご講演されます)
16時~17時 討論・質疑応答
(コメンテーター 伊吹 敦 研究所長、原田香織 研究員)
講演会終了後に6号館1階第3会議室にて研究交流会を開催いたします。
講演要旨:
『六輪一露之記』は能の理論書として、世阿弥(1363-1443)の著作群と同じく、能の世界で特に重んじられている重要な書物である。この『六輪一露之記』は、一般には、金春禅竹(1405-1470? 以下「禅竹」) の著作とされているが、禅竹が考えた「六輪一露」という構想に志玉が注釈を施したものである。志玉が、その著作『五教章見聞抄』の中で取り上げている、明恵の厳密系統と考えられる心源上人の和歌は、白露、紅葉というテ−マを扱っており、志玉の『華厳五教章』の解釈に基づいていることがわかる。「一露」に関する和歌と志玉の解釈は、華厳学の「一心」、「真如縁起」の華厳思想が中心となっているが、一方、「六輪」については、真言密教の六大との関連、中世神道の思想との関連、剣等の三種の神器との関連の可能性を精査する必要がある。
本講演では、このような関連を踏まえつつ、志玉の『五教章見聞抄』の注釈と、『六輪一露之記』の志玉注を中心に検討してみたい。禅竹の思想には、歌人の藤原定家系統の歌論、春日神社系統等の神道観、浄土教、密教からの幅広い影響が考えられるが、「六輪一露」の構想は、主として戒壇院のなかの華厳の伝統を参照して禅竹が考えたもので、志玉の注釈と禅竹の能楽論とのかかわりは大きいと考える。
講演者 フレデリック・ジラール(Frédéric Girard)先生のプロフィール:
フランス極東学院教授。パリ第7大学にて哲学博士号を取得後、高等研究実践院第4部門(歴史・哲学)を卒業。専門は日本仏教の宗教的・哲学的思想。
主な著書は『大乗起信論』フランス語訳Traité sur l'acte de foi dans le Grand Véhicule(2004年、慶應義塾大学出版会)、『風鈴頌にみる鎌倉初期の禅と念仏』The Stanza of the Bell in the Wind: Zen and Nenbutsu in the Early Kamakura Period(2007年、国際仏教学大学院大学附置国際仏教学研究所)、『日本仏教語彙集』Vocabulaire du bouddhisme japonais(Deux Tomes, Droz, Genève, 2008)など。
※東洋大学東洋学研究所では、伊吹敦研究所長を研究代表者とする研究所プロジェクト「世界の諸地域における仏教の哲学的社会学的研究」が平成27年度より2年間の計画で行われています。このたび、フランス極東学院のフレデリック・ジラール先生を講演者にお迎えして、公開講演会を開催する運びとなりました。
*入場無料・予約不要 皆様のご参加をお待ち申しあげます。
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