2001年度 公開講演会 発表報告
開催日:2002年1月19日
2001年度 公開講演会 発表報告
開催日:2002年1月19日
『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』
―二大敍事詩から題材を得た音榮劇 ―
講演者:島田 外志夫 教授(昭和音楽大学)
1.マハーバーラタ
この世界最大の叙事詩は、イティハーサ(歴史物語)と呼ばれ、18巻10萬頌の詩句からなる。物語の主な筋はクル軍とパーンドゥ軍との18日間にわたる戰闘である。著者は傳説上の聖仙ヴィヤーサに歸せられる。クル族の子孫を絶やさないために、カーシー國の娘2人を娶ったヴイヤーサに、盲目の長兄ドリタラーシュトラと弟のパーンドウの異母兄弟があった。パーンドゥが夭折した篤、5人の王子がクル家(カウラヴァ)に引き取られた。ドリタラーシュトラ王が、五王子の年長ユディシュティラの武勇を愛して、王位繼承者と定めたことから、實子たちが怒り、五王子を害しようとする。賭けによる追放などの様々な事件の後に、十八日の戰闘が繰り廣げられる。
2.ラーマーヤナ
マハーバーラタと比べて4分の1と短い。すぢの展開や詩作の技巧面でも洗練されてゐる。この作品は最初の藝術詩(カーヴィヤ)と呼ばれ、作者ヴァールミーキはインドの最初の詩人とされてゐる。大筋は悪惡魔のラーヴァナに誘拐された妻シーターを、風神の子ハヌマトの率ゐる猿軍の援助により、奪還する冒險物語である。
3.その文化的意味
この2つの叙事詩は、国の人々すべてが2000年以上にわたって子供のころから聞き覺え、・繒本で親しみ、寺院での説法や村の祭芝居とか活人劇など、折にふれて接してきた、心の寄り處といふべきものである。
4.映像
藤井知昭監修「音と映像による『世界民族音樂大系』第3~7巻」、同じく『新世界民族音業大系』第4~7巻」所録の「ヤクシャガーナ」、「プルリラのチョウ」、「カターカリ」、「ワヤン・クリッ」、「カタック」、「ケチャ」、「コーン」、「クーリヤーッタム」、マレーシア「ラーマーヤナ物語」、カンプチアの子供の演者による「リアム・ケー(ラーマーヤナ)」の10曲目からの拔萃。