平成28年1月9日(土) 東洋大学東洋学研究所 研究発表例会
東洋大学東洋学研究所 1月9日研究発表例会 第1部会
インドの宗教都市パッタダカル
石川 寛 客員研究員
古典サンスクリット文学と美術
―メーワール派細密画に表現される『ギータ・ゴーヴィンダ』―
堤 博枝 院生研究員
インド古典建築論における施設配置 ―村落と都市―
出野尚紀 客員研究員
ヒンドゥー教における祖先祭祀 ―北インドの聖地ガヤーの事例を中心として―
宮本久義 客員研究員(東洋大学大学院客員教授)
日時: 平成28年1月9日(土)午後2時より
場所: 東洋大学白山キャンパス 5号館1階 5103教室
発表要旨「インドの宗教都市パッタダカル」:
デカン地方中西部に位置するパッタダカルは、近隣のバーダーミを首都とした前期チャールキヤ朝(6~8世紀)時代に数多くの寺院が建立され威容を誇っていた。その多くは現存し今日ユネスコの世界文化遺産にも登録されている。本発表では、寺院に遺された碑文を手がかりに、寺院建設の歴史的・社会的背景と、それが王朝支配に持っていた意味を考察する。
発表要旨「古典サンスクリット文学と美術
―メーワール派細密画に表現される『ギータ・ゴーヴィンダ』―」:
12世紀ベンガルの宮廷詩人ジャヤデーヴァは、『ギータ・ゴーヴィンダ』(Gīta Govinda「神の歌」)においてクリシュナと牧女ラーダーの恋物語をうたった。後にそれは人々の間で愛好されて、インド細密画における様々な流派で描かれるようになる。本発表では、ヒンドゥー的特色が強いラージプート画の中でも、最初期に発達したと言われるメーワール派に表現されている『ギータ・ゴーヴィンダ』について、Kapila Vatsyayan氏による研究をもとに考察を行う。
発表要旨「インド古典建築論における施設配置 ―村落と都市―」:
ヒンドゥー古典建築論書では、「村落」grāmaと「都市」puraの諸施設配置を記す章が別個になっている。では、「村落」と「都市」の違いはどのような点にあるのだろうか。まず、一口に建築論書と言っても、建築論書ごとに作成時代や地域に違いがあるので、各建築論書における「村落」の構成を確認し、続いて、「都市」の構成を確認する。そして、「村落」と「都市」の立地条件や、規模、施設配置について考察を行い、差異を明確にする。
発表要旨「ヒンドゥー教における祖先祭祀 ―北インドの聖地ガヤーの事例を中心として―」:
ヒンドゥー教ではシュラーッダ(祖先祭祀)を行うのに最も適した聖地として北インドのガヤーが挙げられる。そこは一度祖先祭祀を行ったら以後行う必要がないと言われるほど強力な聖地である。本発表では、2013年9月および2015年12月の現地調査をふまえ、ヒンドゥー教徒にとっての祖先の範囲、祖先祭祀の作法、ガヤーとその周辺の祭祀の場所、また仏教の輪廻と解脱説とヒンドゥー教のそれとの相違点についても考察する。
東洋大学東洋学研究所 1月9日研究発表例会 第2部会
新宗教組織と家元制 ―世界救世教の場合―
隈元正樹 奨励研究員
1920年、朝鮮儒者たちの東洋大学訪問
佐藤 厚 客員研究員(専修大学特任教授)
日時: 平成28年1月9日(土)午後3時より
場所: 東洋大学白山キャンパス 5号館1階 5101教室
発表要旨「新宗教組織と家元制 ―世界救世教の場合―」:
新宗教教団の組織原理は様々な角度から研究されてきたが、西山茂は近年、世界救世教や霊友会を事例として「連合型」モデルを提出した。しかしこのモデルでは、宗教組織の特徴ともいうべき聖なる中枢(教祖=教主、宗家)の構造、また、それと組織原理との関係が必ずしも明確でない。本発表は、それらを分析するために「家元制」の理論を援用して聖なる中枢を教団組織の中に位置づけ、宗教組織論を新たに展開しようと企図するものである。
発表要旨「1920年、朝鮮儒者たちの東洋大学訪問」:
日本が朝鮮を統治下に置いた植民地時代、朝鮮総督府は、朝鮮人の対日融和政策として社会の指導者層を対象とした内地(日本)視察を数多く行った。その中の一つに1920年10月から11月にかけて行った慶尚北道儒林団による内地視察がある。この視察団は9都市63カ所を視察したが、東洋大学も訪れている。東洋大学では当時の境野学長をはじめとして彼らの歓迎会を行った。本発表では当時の記録を伝える資料をもとに、歓迎会の模様を再現するとともに、当時の東洋大学と朝鮮との関係について論じる。
*入場無料・予約不要 皆様のご参会をお待ち申しあげます。
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