東洋思想における心身観
東洋思想における心身観
研究調査活動
今年度は国際情勢の不安定化と外務省による危険地域への渡航延期勧告に伴い、グジャラート州におけるアーユル・ヴェーダ関連の調査など、インドでの研究調査を見合わせることになった。
分担課題「九相図にみられる心身観」にともなう調査
榎本 榮一 研究員
期間 平成13年10月4日~10月5日
調査地 三重県伊勢市 神宮文庫
九相図の資料収集のため、神宮文庫が所蔵する『九相十界之図抜書』の必要箇処の複写許可を得に、神宮文庫を訪ねた。
『九相十界之図抜書』はおおよそタテ25cmほどの巻子装の1巻本であって、まず「十界図」と書かれ、林崎文庫等三箇の朱印が捺されている。序文には、十界図は、元30幅であったが、元亀の兵乱で六道之図15幅が焼残り、今は近江国坂本の来迎寺に有り、この図は円融天皇が『往生要集』を図絵させたものである。この古画を、住吉至石広保が70歳で伝写した旨の内容がある。奥書には、その住吉本を安永5(1776)年に、伊勢平蔵貞丈が写し、それをまた、寛政9(1797)年に近藤正助が写したとある。なお、『図書総目録』には、「寛文9写」とあるが、寛政9年の誤りである。
図は淡彩で彩色され、第7巻畜生道ノ中猟者所害、第11巻ノ中生別、怨憎会苦非愛共聚、第10巻ノ中 生苦、人道ノ中 無常の5つの場面が描かれている。しかし、この中に九相図に関わるものは描かれておらず、この巻子本の内容は、十界図抜書であった。神宮文庫に尋ねたところ、受け入れた当初から現状のままとのことで、九相図抜書は見ることができなかった。