11月29日東洋大学東洋学研究所 研究所プロジェクト・パネルディスカッション

主催:東洋大学東洋学研究所

日時: 11月29日(土)午後3時(15時00分)より        

場所:  東洋大学白山キャンパス 5号館3階 5309教室   


プログラム

15時00分~15時30分

研究発表 常世と海中の浄土―補陀落渡海と常世―

大鹿勝之 客員研究員


15時30分~16時00分

研究発表 第二の人生としての住職――三重県の事例より

川又俊則 客員研究員(鈴鹿短期大学教授)


16時00分~16時30分

研究発表 知の現況から聖愚者へ

中里 巧 研 究 員 (東洋大学文学部教授)


16時30分~16時40分 休憩

16時40分~17時20分 ディスカッション

  

発表要旨「常世と海中の浄土―補陀落渡海と常世―」:

常世は永遠の国であり、また死の国として理解されていた。常世信仰との習合が指摘されている、観音浄土を目指して渡海する補陀落渡海には、海の彼方へと目指す渡海もあれば、1565年2月20日付のフロイス書簡に示されている、伊予の堀江での男性6名と女性2名が沖に出て海中に飛び込んでいくという行為もある。1562年堺発のヴィレラ書簡では、海中に天国があると信じられ、その天国の聖人は観音と呼ばれていると記されているが、今回の発表では、常世の位置づけと海中の浄土との関係について検討する。


発表要旨「第二の人生としての住職――三重県の事例より」:

他職で活躍したのち、セカンドキャリアとして住職になることを選んだ人びとがいる。彼らは着任した寺院で、年中行事を行い、個人や家族の悩みに応じ、葬式や年回法要をつとめている。それ以前のキャリアを活かす場合もある。僧侶として懸命に努力を続ける姿もある。本報告は、三重県各地での宗教調査で出会った真宗高田派・曹洞宗・浄土宗の住職の例から、超高齢社会のなかで見出される先祖供養に関わる人びとのある側面を描く。現実の先祖供養には、宗教者側も多様な人びとが関わっている「当たり前」のことを考え直してみたい。


発表要旨「知の現況から聖愚者へ」:

東洋学研究所プロジェクト研究で、昨年より長野県黒姫高原にある黒姫童話館に所蔵されている膨大なミヒャエル=エンデ関連の資料のうち、昨年は第三者による研究論文、今年はエンデ自身の手紙を調査している。エンデ自身の書いた読者への応答としての手紙には、エンデ作品や思想について理解するうえで、重要な手掛かりが多数発見できる。エンデによる現代批判に始まり、ニーチェやM.ウェーバーが主張した「末人」を介して、私たち自身の知の現況を開陳したうえで、これの対抗軸としての「聖愚者」像について紹介する。


※東洋大学東洋学研究所では、中里巧研究員を研究代表者とする研究所プロジェクト「日本における先祖観の研究 ―古来の先祖観とその変容―」が平成25年度より3年間の計画で行われています。今回のパネルディスカッションはこのプロジェクトの一環として開催されるものです。

*入場無料・予約不要 皆様のご参会をお待ち申しあげます。

お問い合わせ先:東洋大学東洋学研究所

郵便番号112-8606 東京都文京区白山5-28-20 Tel 03-3945-7483 FAX03-3945-7483