2023年度 東洋大学東洋学研究所 研究所プロジェクト・公開講演会
(オンライン)
1626-1627年の東北地方におけるイエズス会とフランシスコ会の論争
ベルナット・マルティ・オロバル 先生
(早稲田大学政治経済学部准教授)
日時:2023年2月11日(土)午後2時(14:00)開会
講演要旨
キリシタン研究の長い歴史の中で、イエズス会士の伝道・政治的・貿易活動、または天正の使節、慶長遣欧使節に注目が集まっていた。従来、イエズス会と托鉢修道会との関係に焦点を当てた学者は僅かであったが、近年、この主題に注目する研究者が増加し、さまざまな視点から研究している。しかし、1612-1614年以降、すなわちキリシタン迫害期が始まる頃からのイエズス会と托鉢修道会との関係がほとんど研究されてきていない。本講演では、三つの史料を合わせて分析することによって1626-1627年頃、東北地方においてイエズス会とフランシスコ会の間に起きた「堅信」という秘跡に関する論争を紹介する。これは日本での宣教権を巡るイエズス会と托鉢修道会との対立史の中でほとんど知られていないエピソードの一つである。つまり、この東北における論争は、日本、ローマ(バチカン)、スペインの宮廷で行われた日本での布教の権利をめぐるイエズス会と托鉢修道会との大規模な論争の一章に過ぎないが、全体像を明らかにするためには重要である。
ベルナット・マルティ・オロバル(Bernat MARTI OROVAL)先生のプロフィール
1979年スペイン生まれ。2006年から2012年にかけて交換研究員、特別研究生として早稲田大学東洋哲学研究室に在籍し、2013年にスペインのバレンシア大学で博士号を取得。2012年より東京外国語大学、慶応義塾大学、早稲田大学、東京大学等で非常勤講師、2017年4月より2020年3月まで上智大学准教授を務めた後、2020年4月より早稲田大学政治経済学部准教授。専門分野は、明治時代の思想(特に明治仏教)及び16世紀と17世紀日本におけるキリスト教宣教師の伝道活動。
(主要著書)
『日本のキリスト教迫害期における宣教師の「堅信」論争』(春秋社、2023年3月刊行予定)。
“Del Cipango de Marco Polo al Japán de Francisco Xavier. Algunas imágenes de Japón en la tradición hispana”, in Joan B. Llinares (ed.), Antropología filosófica y literatura. Pretextos, 2019.
(主要論文)
「井上円了の「公認教」論―19世紀フランスのコンコルダート制度との関係を中心に―」『国際井上円了研究』(10)、2022年、202-223頁。
「井上円了の宗教定義、宗教起源説について―『宗教新論』と『比較宗教学』を中心に―」『国際井上円了研究』(8)、2020年、162-186頁。
※2021年度より、本研究所の研究所プロジェクトとして、相楽勉研究員(本学文学部教授)を研究代表者とする研究「西洋思想の受容と日本思想の展開―キリシタン時代と明治期以後―」が進められています。今回、このプロジェクトにおいて公開講演会が開催されることになりました。どうぞふるってご参会ください。
●本研究発表会は、オンライン(Zoom)にて行います。参加費無料ですが、申し込みが必要です。
●申し込み方法:toyogaku@toyo.jp(半角に変換して下さい)宛てに2月10日までにメールをお送りください。メール本文には、「名前」「住所」「電話番号」を記載して下さい。折り返しZoomのミーティング情報をお送りします。
●お問い合わせ先 東洋大学東洋学研究所 〒112-8606 東京都文京区白山5-28-20 電話番号:03-3945-7483