東洋学研究所・研究所プロジェクト研究発表会

東洋大学東洋学研究所
研究所プロジェクト・研究発表会(オンライン)

日時 :2021年11月20日(土) 午後2時00分(14:00)開会

オンライン研究発表会

プログラム
14:00~14:05 開会の辞

14:05~14:55
「真実ノ教」における汎神論批判
――世界とその根源はどのように区別されるのか――
大野岳史 客員研究員

発表要旨
ペドロ・ゴメスは『講義要綱』第三部「真実ノ教」で神の世界創造を説明するとき、アリストテレスの原因論にしたがって神と被造物との関係を論述し、それを踏まえて、世界とその根源とを同一視する日本の異教徒たちに対して論駁を試みている。ただし異教徒たちの見解を全面的に否定しているわけではない。本発表では「真実ノ教」における汎神論的な思索に対する論駁を整理し、その思想史的背景を検討する。

(5分休憩)

15:00~15:50
こんちりさんのりやく ―― 解読の方法について
菊地章太 研究員

発表要旨
キリシタン文献『こんちりさんのりやく』は1603年に長崎で刊行された。ポルトガル語で「懺悔」を意味するコントゥリサンを信者は「こんちりさん」と聞き覚えた。「りやく」は「利益」に違いないが、この語は説経節や御伽草子の中で「救い」の意味に用いられている。懺悔による救済を説いた『こんちりさんのりやく』を解読するにあたり、カトリックの教理に対する認識だけでなく、同時代の日本の通俗文芸にも目を向けていく意義について考えてみたい。

(10分休憩)

16:00~16:50
現代キリスト教の神秘体験事例と日本のスピリチュアリズム
中里 巧 研究員

発表要旨
戦国時代にカトリシズムが日本に受容された理由は、1.医療・社会福祉・当時の科学技術をバテレンがもたらしたこと、2.仏教界が、一般庶民の救済を対象にしていなかったこと、3.戦国時代の政治的軍事的駆け引きに利用されたことなどが、挙げられる。しかし、本当にそれだけだろうか。信長に、十字架に貼り付けにされた上焼き殺された親子は、賛美歌を歌いながら、死んでいったといった伝承がある。実は、こうした霊的な側面をさらに考慮しないと、カトリシズムの受容については、浦上四番崩れを初めとする多くの苛酷な弾圧になぜたくさんの人々が耐えたのか、説明できない。本発表では、そうした精神的基層に、カトリシズムと日本の霊性が共通してもつ何ものかがあり、それが大きく作用していることを見出して、現代的視点から遡及するきっかけを探りたい。

16:50 閉会の辞

※2021年度より、本研究所の研究所プロジェクトとして、相楽勉研究員を研究代表者とする研究「西洋思想の受容と日本思想の展開―キリシタン時代と明治期以後―」が進められています。今回の研究発表会は研究成果の発表となります。どうぞふるってご参会ください。

ご案内PDF

20211120

○本研究発表会は、オンライン(Zoom)にて行います。参加費無料ですが、申し込みが必要です。
○申し込み方法:toyogakuアットマークtoyo.jp(toyogakuの後に@を入れてください)宛てに11月17日までにメールをお送りください。メール本文には、「名前」「住所」「電話番号」を記載して下さい。折り返しZoomURL、パスコードをお送りします。
○お問い合わせ先 東洋大学東洋学研究所 〒112-8606 東京都文京区白山5-28-20  電話番号 03-3945-7483