ヨーロッパ人から見た道元禅師の『正法眼蔵』
東洋学研究所プロジェクト(井上円了記念研究助成)「世界の諸地域における仏教の哲学的社会学的研究」公開講演会
日時 2015年7月25日(土) 午後3時~午後5時
会場 東洋大学白山キャンパス 8号館7階 125記念ホール
第1部 アルド・トリーニ先生講演会
「ネガティブなアプローチで悟りを教える―道元禅師の言語ストラテジーを中心に」
講演要旨
西洋のキリスト教伝統ではポジティブな言語ストラテジーに基づいた教えのほうが多いのに対して、東洋の仏教では、ネガティブなアプローチがよく使われる。たとえば、「無心」、「無我」、「不思量」、「非思量」、「無仏性」などである。日本仏教の思想家の中でネガティブなアプローチを多用した代表は道元禅師である。西洋言語では否定形が基本的に一つしかないので、ポジティブ/ネガティブのコントラストがはっきりしているが、日本語や漢文には多数あるため、そのコントラストのニュアンスはいろいろな形を取る。『正法眼蔵』を例に道元禅師のネガティブ・アプローチの言語ストラテジーに基づいた教え方の特徴について話しを進めたい。
アルド・トリーニ先生のプロフィール:
ヴェネツィア「カ・フォスカリ」大学、「アジア・北アフリカ学科」准教授(1998年以降)。
日本の古典語(和文体、漢文訓読、日本語史)を教えている。
2002年~2006年:イタリア日本語教育協会会長
研究テーマ:日本語学、日本仏教、日本伝統文化
最近の著作:
2014年:「日本における茶の文化」(本、イタリア語、235頁)
2013年:「和歌を仮名で書くことについての一考察」(論文、日本語、9頁)
2012年:「禅・その歴史、宗派と教典」(本、イタリア語、521頁)
2009年:「日本仏教のアンソロジー」(本、イタリア語、519頁)
第2部 『正法眼蔵』の思想と翻訳をめぐる対論
アルド・トリーニ先生(『正法眼蔵』イタリア語訳者)
何燕生先生(『正法眼蔵』中国語訳者)
何燕生先生のプロフィール:
何 燕生(He Yansheng)、1962年、中国湖北省に生まれる。1997年、東北大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。現在、郡山女子大学短期大学部文化学科(宗教学)教授、武漢大学哲学院講座教授、華中師範大学人文社会高等研究院特聘教授。研究領域、中日仏教交流史、日本仏教思想史(特に道元禅、空海)、近代東アジアの禅仏教と哲学、死生観の宗教学的研究、自然災害と宗教の役割など。
代表的な著書に『道元と中国禅思想』(京都・法蔵館、2000年.日本宗教学会賞受賞)、訳書に『正法眼蔵』(道元著、北京・宗教文化出版社.財団法人正法伝光会学術奨励賞受賞)などがある。
ボスターもご覧ください。2015年7月25日東洋大学東洋学研究所公開講演会ボスター [PDFファイル/565KB]
入場無料・予約不要 皆様のご参加をお待ち申しあげます。
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