2007年の6月に脳梗塞になったので、2008年の5月に高度2800mのGuatavitaから1580mのFusagasugaまで下りてきました。早いものでそれから3年半も経ちました。2011年に日本に帰国した際、姉や友達にもらった脳梗塞等の医療の本を読みました。本には半身の麻痺、半身の感覚障害、舌がもつれる、ろれつが回らない、言葉が出てこない、他人の言うことが理解できない、意識朦朧、立てない、ふらふらして歩けない、物が二重に見える、歯が磨けない、ズボン等衣類をうまく着ることができない、見たり触れたりしたものが何かを認識できない、回転性のめまい等が起き得ると書かれています。僕にはこのようなことは何も起こっていなくて、ただ漢字が読めるが、少し書けなくなった程度です。2007年の7月頃、弟がコロンビアに来て血圧が高いと言うので、日本大使館の医者に診てもらいに行った際に、僕もついでに見てもらって分かった位なんですから。
脳梗塞のせいではないと思うんですが、最近はバイクに乗らなくなりました。2008年5月にこの街に引っ越ししてきてからは殆ど乗っていません。この一年間は近くのバイク屋に売りに出したままです。この街は田舎なので近くボゴタのバイク屋さんに持って行こうと思っています。バイクに乗らなくなった本当の理由の一つは、このFusagasugaはアンデス山脈の中程にあり、2500mのボゴタに上がると恐ろしいほどの車と交通渋滞、一方30分ほど下に降りると汗が出るほど熱くなります。何しろここは北緯4度、ほぼ赤道直下なのです。二つ目は品質の悪いガソリンです。この国のガソリン・スタンドでは3~4年前から砂糖から作った燃料が売られていて、4~5日エンジンを掛けないでおくと、エンジンが掛からなくなります。僕はFusagasugaに来てから2回掛からなくなり、バイク屋に取りに来てもらいました。三つ目は、こちらの天気は変わり易く、快晴→雨→晴れと言った日が良くあります。ただ雨は15分から長くて30分位なので濡れても大した事はありませんが、そんなに気分の良いものではありません。それにこちらの道路は殆ど排水溝が付いていないので、少し雨が降ると水浸しになります。横を車が走ると泥水で全身が洗われます。
Fusagasugaの教会 - Maria、Constanzaと
そうそう、今回は近くに住む日本人が本を出版する話を書くつもりでした。この街には僕の他、二人の日本人が住んでいましたが、その内の一人は先月ボゴタに引っ越ししました。それで今は一人だけになってしまいましたが、この人が今月、本を出版することになっています。「カミカゼ」と言う題名で、全てスペイン語で書かれています。彼は和合さんと言い67歳、ずっと柔道をしていて、横浜の大学ではスペイン語を勉強したそうです。卒業後は建設機械の製造メーカーに就職し、機械の販売で世界中を駆け巡ったと聞いています。27歳で日本を飛び出し、キューバの女性と結婚し、その後コロンビアの女性と二回結婚したので合計三回結婚したことになります。二番目の奥さんとの子供は、現在二人とも日本に住んでいます。アメリカの大学を出た兄さんは30歳で、アメリカの石油会社に勤めていて、特許も取ったそうなので会社からは大変大事にされているそうです。弟さんは一度我が家にも来たことがあります。彼は去年、三度目の訪日で早稲田大学に2年間留学することになりました。来日してすぐにコロンビア大使館にも雇われ、去年の9月、コロンビア大統領サントスが日本に行った時には、彼の仕事を助けていました。
Fusagasugaの教会の前の広場でMariaと
さて和合さんの話に戻ります。「カミカゼ」は小説です。出版前にコピーされた原稿を妻のマリアが読んでいました。今、僕は世界史の本を2年近く読んでいるし、また今の僕には多分スペイン語が読めないと思うので、まだ読んでいません。彼の本を出版する会社はコロンビアでも3本の指に入る出版社だそうです。一度、彼とボゴタに行った時に寄りましたが、僕とマリアは別の友達と会って買い物に行ったので中には入りませんでした。この出版社からはコロンビア人でノーベル文学賞を受賞したGarcia Marquesの本が出されました。Garcia Marquesはもう80歳くらいで、今はメキシコに住んでいて余り本は書いていないそうです。それでこの出版社は和合さんに期待していて、もっと書いてくれと言っているそうです。彼は第2冊目「ハラキリ」を書き上げ、今、三冊目の「白い悪魔」に入っています。彼は日本では少ししか働いていなかったので、年金はごく僅かです。中南米では殆どがスペイン語なので、日本ほど本を買う人はいませんが、ベストセラーにでもなればかなりの収入になります。僕はこの小説が売れ、彼にどんどん印税が入ることを期待しています。この国では日本と違って、お金が入っても誰も銀行に預けないそうです。物価の上昇が年間15%位なのに、銀行利子が安いのでみんな土地や家を買っています。彼も小説でお金が入ってくると別荘を買うそうです。是非そうなって欲しいと心から祈っています。
クリスマスと新年の飾りを付けた近所の家