地球温暖化
サハラ砂漠は昔は緑豊かな牧草地であり、そこには高度な文明が栄えていた。自然を無視した過度の放牧が砂漠を生んだのだ。今も地球上では森林を切り倒すことで砂漠化が進行している。 木は、また空気中の炭酸ガスを酸素に変えてくれる。このことには海の植物性プランクトンも大いに貢献している。その海まで汚染されて、地球上の炭酸ガスは増え続けている。加えて産業革命以降の化石燃料の大量消費が、空気中に炭酸ガスを大量に放出してきた。そして地球全体の温度が上がり、海水が膨張するとともに氷河や両極の氷が溶けて、海岸線に位置する世界の主要都市が水没してしまうのではないかと心配されている。 最近ではフロン等が両極上空のオゾン層が破壊し、有害な紫外線が地上に降り注ぎ、人間をはじめ生物に直接的に悪影響を与えるのではないかと懸念されている。 さらに環境ホルモンと呼ばれる有害な化学物質は、人間の遺伝子まで作用して、人間の本能的機能まで奪ってしまうのではないかと恐れられている。 自然は偉大なゴミ処理装置だけれども、自然界にないもの、あるいは自然界の処理能力を越えるだけのものを捨ててしまうと、そのツケが人間に戻ってくるということは、水俣病をはじめとする公害病でいやというほど経験済みだ。 昔、ミクロネシアのヤップ島に行ったことがある。この島ではまだ巨大な石のお金が使われていて、島の独身の若い男達が合宿生活をする若衆宿が多数残されていた。島にはホテルが一軒あるだけなので、そこに一週間ほど特別に泊めてもらった。自然が豊かなので食べ物には困らない。その辺には椰子蟹がゴロゴロいるし、ちょっと網を打てば大きな魚が引っかかる。酒の肴には最高だ。常夏だからとりたてて服もいらない。日本軍が残していった日本語で言われた。「松本さん、日本に帰らずにこの島で住んでみたら。働かなくても生活できますから。」 これも自然に対して人間が少ないからできることだ。もう30年近く前にローマクラブが「成長の限界」という本を出した。世界の人口が爆発的に増えて、深刻な食糧危機が世界を襲うだろうと予測した。その予測は外れていない。国連の統計では来年の6月に地球上の人口は60億になるそうだ。これはわずか50年前には25億人だったことを考えるとまさに人口のビッグバンだ。食糧の問題も、日本では海外から大量に輸入して飽食しているが、現に世界では多くの国が飢えている。 食料は別として、水や空気は日本では昔からタダだった。それが最近ではジュースと同じくらいの値段でミネラルウォータが売られている。2年前の京都会議では、空気中に排出する炭酸ガスの量が世界中の国で売買されるようになった。
先進国が、相対的に少なくなった資源を独り占めにして使っている。熱帯雨林が切り倒され売られているといわれるが、それでもまだ多くの所では木や水を大事にして自然のままで残してくれている。我々は彼らのお陰で生きていられるのだから、未開だと見下げるのではなく、感謝しなければならない。
それでも資源を使いたいというのなら、自然のゴミ処理装置を越える人工の汚染物質循環装置を造って自然を守るべきだ。資源の限られた宇宙船ではあらゆる物を循環再利用している。まさに我々は「宇宙船地球号」に乗って宇宙空間を旅しているのだから。