このところ忙しくてメールを書く時間すらありませんでした。最後にインターネット・カフェへ行ったのはもう3週間ほど前になります
2年前にボゴタに半年いた時は旅人で比較的ゆっくりと過ごしていましたが、今回は住民のような生活を送ってきました。家の建築、家財道具の入手、自炊、それに一時帰宅の準備の中で、以前の旅人には見えなかったコロンビアを見ることができました。それは、コロンビア人は心の優しい人が多いけれども、仕事に対する責任感が全く欠如している点です。彼等にとって人生は、ダンスと愛であり、決して仕事ではないようです。
3階の5部屋に便所と台所を作り、壁を塗装し、絨毯を敷くのに5ヶ月以上かかりました。大工に週給を払うと翌日は決まって仕事にきません。あと一日で仕事が終わるという段階にきて大工は来なくなりました。階段の一部の工事がまだ終わっていないままです。給料を全て払ってしまったのが間違いだったようです。家具屋は材料代が要ると言うので経費の半分以上を払いました。こちらの人の話ではそれはダメだそうです。そのお金がなくなるまで仕事をしないそうです。最初は少し離れた家具屋に頼みました。Hernanが毎日ほど電話をしましたが、居留守を使って電話に出ません。一ヶ月ほど経って、やっと届けると言ったので家で待っていました。来ませんでした。それで二人でまた店へ行きました。何と、「先日届ける途中でトラックが事故を起し燃えてしまった」と言います。それで近所の家具屋に変えました。近所なので居留守の手は使えません。毎日ほど「何時でき上がりますか」と聞きました。「三日後」と言って、できません。「明日」も嘘です。終には「今晩届ける」と言うので待っていましたが、来ないので家へ行ってみたらできていません。こういう状態が家具一点ずつについて起こります。去年、遠く離れた人に服を作ってもらいました。この人も「明日、明日」と言ったまま数ヶ月が経ちました。ある日「できている」と言うので行ってみました。できていませんでした。日本への土産に革製のポケット灰皿100個を注文しました。この灰皿を名刺代わりにしようと思い、自分の名前とメールアドレス等を印刷してもらいました。完成までに印刷屋は4軒変えました。つい最近できあがったのですが、作り始めてから8ヶ月ほどかかりました。ガス注入可能の電子ライターにも印刷してもらいました。最小単位が250個と?うので印刷を頼んだらメールアドレスを間違って印刷されました。指摘しても平然としています。また100個買って印刷するはめになりました。間違いは全てにおいて起こります。図面を書いて渡しているのに、棚が図面より一つ少なかったり、テレビとステレオのキャビネットなんかは、壁の中央の柱に当たって据え付けることができず、もう一度持って帰ってもらって小さくしてもらいました。柱の間に入ったと思ったら今度はキャビヘットにつけた引き戸が開きません。帰国まで間違いなくできると言っていたのに、このままでは下駄箱、和式の食卓、机と椅子3組、それに木製のブックエンドはできそうにありません。
遅れる、ミスをする、の連続ですが、1軒だけ例外がありました。皮のブレザーを7着、4万5000円ほどで仕立ててもらいました。2週間ほど前に注文したのですが、何と、一週間で約束どおり仕上げてくれました。感動しました。コロンビア人の中にも信用できる人がいると知って少し救われたような気持ちになりました。しかし、これはあくまでも例外です。帰国の切符は6月1日から手配を始めました。切符屋さんには何回も行った後、Mariaの事務所に届けると言うので待っていましたが、二日経っても三日経っても届きません。堪りかねて電話したら30分前に配達人が事務所に向かったと言います。また嘘でした。それで今週、月曜日が祭日でしたので火曜日に切符屋さんへ行き、督促の意味で一日中事務所で待ちました。「明日は渡せます」が今日は金曜日です。5日連続、まるで切符屋の職員になって出勤するように毎日行きました。今日なんかは切符屋の事務所に着くとすぐ、「できていますか?」と聞いたら「はい、できています」と言うので「とうとうできましたか、結構結構!」と答えました。20~30分ほどしてMariaの切符をもらいました。「僕のは?」と聞くと「2分後に」と言いました。それから2時間経って、「今日はダメ、来週の月曜日!」。
本当に疲れます。白髪が増えました。いい精神修養です。一ヶ月ほど前にネパールの隣国ブータンの映画を見ました。登場人物の一人が、「仏陀は『希望を持たないのが一番』と言ったではないか」というようなことを言っていました。今、この言葉の意味がよく分かります。コロンビアでは期待すると失望します。期待や希望を捨てると楽です。家の採光用の吹き抜けに赤と白の提灯5つを吊るしました。提灯に墨で字を書いたのですが、その一つには「待」、「忍」、「悟」の3字を書きました。現在の心境です。日本に帰れば世界と日本の歴史全集、それに仏教の本を買って帰ろうと思っています。
さて帰国の日程ですが、切符をもらうまでは不安ですが、今のところ
ボゴタ→コスタ・リカ→ロス・アンジェルス→成田→羽田→関空のルートで関空には7月16日(土)到着の予定です。
日本で再会できることを楽しみにしています。