大阪市環境データ処理システム
国政に携わる政治屋や役人の堕落、腐敗が毎日のようにマスコミに登場し、世の中を騒がせている。これはなにも今に起こったことではない。民主主義革命を経験しなかった日本という国の長い伝統かもしれない。それでも、バブル経済がハチけた後の不況と、国の指導者達の腐敗を背景にしたこの国の世相は、右翼青年将校が決起し、そのまま第二次世界大戦へと突入していったあの頃と酷似している。 政治や行政の腐敗は、地方でも全く同じ構造で起こっている。原因は何か?私は、政治屋や役人の倫理の問題もさることながら、彼らを抱えるシステムに制御機能が欠如していることにあると思っている。政治屋は票を買収し、役人はその権限で企業から賄賂を要求する。それをだれも咎めることができない。検察だって、法が悪いのか、情報がえられないのか、手をこまねくばかりだ。この構造を支えるのは彼らの秘密主義だ。自らの利権を守るため集団で行っている秘密主義だ。密室で商談し、票やお金、さらに将来の地位も黙ってポケットにいれる。全て国民から集めた税金だ。彼らを制御できるのは納税者たる国民のはずなのに、彼らはマスコミからも実体を知らされない。内部告発がない限りマスコミも知り得ないのだ。逆に言うと、彼らにとって国民に知らせないことが「力」なのだ。 民主主義が存在しないと言われる日本にも、ここ数十年、環境問題を中心に住民運動が次々と起こってきて、役所の情報を公開せよとする声が大きくなってきた。この動きは民主主義先進国アメリカにおける最近の情報公開の影響を受けて、今までよりも急速に進みそうだ。あるいはひょっとして、例の海外からの外圧による効果が一番大きくなるかもしれない。現に最近、日本政府は環境に関する情報を広く公開することを国際的に約束させられたし、二千数百万円以上の事業は国内の密室における商談を行わず、英文で公表し、国際市場で競争することを義務づけられた。そのため全国の役人は頭を抱えているが、自浄能力がなく、旧態依然とした閉鎖的システムの中で問題解決の出口すら見いだせない日本にとっては、情けないことだが、こうした外圧だけが頼りなのかもしれない。
情報公開の波は、地方の役所で安眠を貪る私をも直撃した。私の仕事は、環境汚染源と環境における汚染状況を把握し、汚染レベルをある一定の基準まで減少させるための条件を計算するコンピュータを管理することである。そのための事務処理の電算処理化方法を考え、プログラムも多く作ってきた。そうした情報は、直接的に市民に見せることは殆どなかったので、正直なところ気が楽だったし、手間もかからなかった。しかし、ここ数年は市民への情報提供を主眼としたコンピュータ・システムの開発に忙殺されてきた。
その情報提供システムが、今年の12月に公開される予定になっている。提供される環境情報の内容は、他と比較して非常に詳しいものとなっているはずだ。当面は鶴見区の花博会場跡にある大阪市環境学習センター(生き生き地球館)だが、必要な事務手続きを終えたらインターネットにも流したいと考えている。ところで、表題はこのコンピュータ・システムの愛称だ。かなり無理なこじつけがあるが、流行の英語でなくエスペラント語にした。