2018.11.02|FRI
2018.11.02|FRI
日時: 平成30年11月10日(土)13時より
場所: 東洋大学白山キャンパス 6号館3階 6312教室
◆研究発表例会(13時05分~16時15分予定)
自殺と不条理―自殺予防の基礎としての哲学―
岩崎 大 客員研究員
発表要旨:不条理の作家アルベール=カミュは『シーシュポスの神話』において、哲学の第一の問いを「自殺するべきか」に置いて議論をはじめる。一方で、年間二万人を超える日本の自殺既遂者のほとんどは、哲学的思索の帰結として死を選んだわけではない。複層的な苦悩を抱え、視野狭窄に陥っている自殺念慮者に対する社会的、精神医学的な自殺予防対策が進むなか、哲学がもちうる可能性を、カミュの不条理の概念を基に考察する。
『徹通義介喪記』における衣と鉢盂―<物質文化研究>の視点から―
金子 奈央 客員研究員
発表要旨: 禅宗清規に記載される葬送の次第には様々な物品が登場するが、哀悼の意を示す「もの」だけではなく、最終的には叢林の維持運営に寄与する性格を持つ「もの」もあるのではないかと思われる。そこで、中国において撰述された諸清規なども参照した上で、日本中世期の曹洞宗における高僧の葬送の記録をまとめた『喪記集』に収められる『徹通義介喪記』の記述を対象として、「もの」としての「袈裟・衣」や「鉢盂」が帯びる役割の一端について考察する。
高田門徒の高田顕智『聞書』の資料的価値―醍醐本『法然上人伝記』をめぐって―
板敷 真純 奨励研究員
発表要旨:醍醐本『法然上人伝記』(以下『醍醐本』)は、醍醐寺座主義演准后の写本しか残っておらず、原本は見つかっていないが、初期の高田門徒の中で書写されていることが分かっている。本論は、高田門徒の顕智が書写した『聞書』内の『醍醐本』の書写断簡に焦点をあて、義演准后が書写した『醍醐本』との相違点について論究を行う。これにより、『醍醐本』に書写された『聞書』の資料的価値を明らかにすることが出来、さらに高田門徒の実態を究明することが出来ると考える。
◆大型研究公開講座(16時30分~18時00分予定)
平塚らいてうの思想―仏教との関わりを中心に―
水谷 香奈 研究員
講義要旨: 平塚らいてう(1886-1971)は、若くして雑誌『青鞜』を発刊し、「元始、女性は太陽であった」との表題で知られる文章を掲載して、女性の自我の解放について論じるなど、近代における女性解放運動を指導した人物の一人として知られる。そのらいてうの言動の根底に禅をはじめとする多様な宗教・思想の影響があることも先行研究で指摘されている。本発表では、らいてうの生涯を概観しつつ、仏教に関するらいてうの発言に着目し、その変遷の思想的背景も含めて論じてみたい。
※東洋大学東洋学研究所では、相楽勉研究所長を研究代表者とする、井上円了記念研究助成「大型研究特別支援助成」による研究「日本文化の背景となる仏教文化の研究」が平成29年度より2年間の計画で行われています。このたび東洋学研究所では本プロジェクトの公開講座を定例の研究発表例会と同日開催することになりました
入場無料・予約不要
皆様のご参会をお待ち申しあげます。
11月10日A4研究発表例会・公開講座ご案内 [PDFファイル/172KB]
お問い合わせ先:
東洋大学東洋学研究所
郵便番号112-8606 東京都文京区白山5-28-20
電話/ファクス 03-3945-7483
E-mail: toyogaku@toyo.jp