エアロゾル粒子は、電離放射線(α線、β線)や放電により生成されるイオンにより荷電されるが、衝突荷電は電界荷電とも呼ばれ、エアロゾル粒子の荷電機構の一つである。
衝突荷電は粒子が外部電場に存在すると、粒子周りの電界にゆがみが生じ、粒子に向かう電気力線が形成される。電界荷電はこの電気力線に乗ってイオンが粒子に向かって移動し、衝突することで電荷を与える。この荷電機構は外部電場が存在し、かつ、粒径が2 μmより大きいときに主な荷電機構となる(参考文献1)。
単極イオンによる電界荷電の場合、単分散粒子を仮定すると、電界強度Eの電場内での粒子の電荷数pの経時変化は次のPouthenierの式で表される(参考文献2)。
ここで、psは飽和帯電量とよばれ、イオン個数濃度Nと荷電時間tの積Ntをいくら大きくしても電界強度Eを大きくしない限り、これ以上粒子が持つことができない最大電荷数である。なお、Dpは粒子の直径、ε1は粒子の比誘電率、ε0は空気の誘電率(=8.854×10-12 Fm-1)、eは電気素量(=1.6021×10-19 C)、Biはイオンの電気移動度である。
文献1:足立元明、粉体工学の基礎(粉体工学の基礎編集委員会編)pp. 86-93、日刊工業新聞社、1992.
文献2:Pauthenier, M. M., & Moreau-Hanot, M., Charging of spherical particles in an ionizing field. J. Phys. Radium, 3(7), 590-613, 1932.
(大阪府立大学・足立 元明) 2016年4月21日 ★