プラズマ加熱法
plasma method
プラズマとは、気体分子の一部が電離してイオンと電子に分かれた状態である。直流アーク放電を起こさせると、数千~数万度の高温のプラズマ領域が得られ、これは熱プラズマと呼ばれる。熱プラズマ中では、多種類の物質を迅速に蒸気化・原子化できるため、例えば粒子化したい物質にプラズマを当てて加熱し、生じたガスを急冷するだけで、PVD法の原理でエアロゾル粒子が得られる。熱プラズマはまた、高温ゆえに化学反応も速く進行するため、原料蒸気の反応をともなうエアロゾル粒子発生法(CVD法)のエネルギー源としても用いられる。一方で、高周波、マイクロ波を用いて形成されるプラズマは、熱プラズマほど温度が高くない(低温プラズマ、非平衡プラズマ)ものの、電子、ラジカル、イオンなど化学反応における活性種を豊富に含んでいる。したがって、通常の加熱や燃焼では実現できない反応を生じさせることができ、この反応を利用して望む粒子を発生させるCVD法も、活発に研究・利用されている。また、プラズマ、およびプラズマを経て生成した粒子やプラズマ中に浮遊する粒子は、特異な電磁気特性や帯電状態を有しており、このことは、発生粒子のサイズ・凝集状態、輸送を制御することに役立てることができる。
(広島大学・島田学) 2016年5月2日 ★