アメリカのInteragency Monitoring of Protected Visual Environments (IMPROVE)の観測ネットワークで集められたPM2.5およびPM10の試料に適用されてきた熱分離・光学補正法の分析プロトコル.各フラクションでの加熱雰囲気や温度,加熱時間の最小・最大値などが定義されている.
COC = COC1 + COC2 + COC3 + COC4 + COCP
CEC = CEC1 + CEC2 + CEC3-COCP
ここで,CX(X=OC1, OC2, OC3, OC4, EC1, EC2, EC3)は,表1に示す加熱雰囲気および温度で分けられた各フラクションの値,COCPは反射光か透過光のいずれかにより求められた補正値である.
ただし,初期に用いられていた分析装置では,現在用いられている分析装置に比べて,試料付近の実温度が設定温度よりも高いことが後になってわかった1)。このため,アメリカでは観測データの継続性・一貫性を確保するため、現在の装置で分析する場合には,表2に示すように設定温度を高くしたプロトコル(IMPROVE_Aプロトコルと呼んでいる)を使用している。このため,2つのプロトコルによる分析結果は,各フラクションで比較すると差異がある.しかし,OC及びECでは,光学補正がなされることにより差異はほとんどない.
引用文献
1) Chow, J.C. et al., The IMPROVE_A Temperature Protocol for Thermal/Optical Carbon Analysis: Maintaining Consistency with a Long-Term Database, Journal of the Air & Waste Management Association, 57:1014-1023, 2007.
(埼玉県環境科学国際センター・長谷川 就一) 2022年5月9日 ★