吸入療法
Inhalation therapy
Inhalation therapy
吸入療法とは、気管支喘息などの治療に用いられる方法で、自分の吸気力によって薬剤を吸入する「ドライパウダー吸入器(DPI)」あるいはガスで噴霧して吸入する「エアゾール式の定量噴霧式吸入器(MDI)」を使用して薬剤を吸入することで直接気道に到達させることにより、気道の炎症や狭窄(狭くなること)を軽減する方法である。喘息治療は主に“気道の炎症”を鎮める吸入ステロイド薬を中心に、“気流制限”を改善する気管支拡張薬の両方を組み合わせて行う。気管支拡張薬には、気道を拡げる作用を有するβ2刺激薬、気道が縮むのを抑える抗コリン薬がある。また、薬剤は使い方によってA.長期管理のために継続的に使用しコントロール良好を目指す薬剤である長期管理薬とB.喘息増悪治療のために短期的に使用する薬剤である増悪治療薬とに分類される。経口薬はいったん消化管から吸収されるため、血流にのって気道や全身に作用するのに対し、吸入薬である吸入ステロイド薬や気管支拡張薬は、喘息の患部である気道に直接作用させる外用剤であり、薬剤が直接気道に届くため、経口薬よりも薬剤の量が少量で優れた効果を発揮し、全身への影響や副作用が少ない特徴がある。
(産業医科大学 東 秀憲) 2022年2月7日 ★