サンフォトメータは、地表に到達する太陽放射照度Iを計測することで、大気外の太陽放射照度I0との差から大気で減衰した光の量を計測する装置である。IとI0との間には、Lambert-Beerの法則とよばれる次のような関係が成り立つ。
となる。大気外の太陽放射照度を含むV0の成分は、太陽天頂角ごとに出力値をプロットするLangley-Plotとよばれる手法によりm = 0となる値を推定することで求める。Langley-Plotは、エアロゾルによる変動の影響がほとんど無い場所でのみ成り立つため、ハワイ・マウナロアなどの高い山頂で実施されることが多い。
太陽直達光だけでなく、周辺の角度ごとの天空放射輝度を計測するものにスカイラジオメータがある。世界的には、オリオールメータともよばれている。天空放射輝度には、散乱角に依存したエアロゾルによる散乱成分(光散乱分布パターン参照)が多く含まれており、光学的厚さ、粒径分布、複素屈折率、単一散乱アルベド、非対称因子の推定に利用されている(Nakajima et al.1996; Dubovik and King,2000)。これらの観測から得られる情報は、長期的な環境モニタリングだけでなく、衛星リモートセンシングの精度検証やモデルシミュレーションの検証に有効となるため、多点でのネットワーク計測が実施されている。アジア域とヨーロッパでは、スカイラジオメータの観測ネットワークSKYNETが、世界的にはNASAが主導するAERONET(Aerosol Robotic Network)が展開されている。
参考文献
Nakajima, T., G. Tonna, R. Rao, P. Boi, Y. Kaufman, and B. Holben: Use of sky brightness measurements from ground for remote sensing of particulate polydispersions. Appl. Opt.35,2672-2686, 1996.
Dubovik, O. and M. D. King: A flexible inversion algorithm for retrieval of aerosol optical properties from sun and sky radiance measurements, .J. Geophys. Res .105, 20673-20696, 2000.
(京都大学・矢吹正教) 2016年5月1日 ★