ベンチュリースクラバーは洗浄集塵装置の中の1つで,粒子の捕集効率が最も高く,特にサブミクロン粒子を高効率に捕集できることから,フィルター集塵や電気集塵に匹敵する性能を有している。洗浄集塵とは含塵ガスを液体(主に水)と接触させて洗浄し,粒子を除去する方法であり,ベンチュリースクラバー以外には主にスプレー塔,充填塔などがある。捕集機構は液滴や液膜と粒子の衝突,増湿凝縮による粒子の凝集などにより除去される。
ベンチュリースクラバーは,図に示したように管のスロート部(縮流部)に加圧した水を供給し,高速に流れてきたガス(60~120m/sec)で水を微粒化することで,粒子を捕集する装置である。生成した液滴が微細なことから,粒子との接触の可能性が多く,後に続く拡大部管部において気流は減速するが,液滴は慣性で速度を維持しようとするため,再度衝突が起こり,衝突効率が向上する。最終的に粒子を捕集した液滴は,次に設けたサイクロン或いはデミスター(ミストエリミネータ)で気体流から回収される。この装置は洗浄集塵機の中で最も集塵効率が高く,0.1μmまでの粒子を捕集できるが,圧力損失が非常に大きいことから適用できる除塵対象が限定される。
(参考文献)
日本エアロゾル学会(編)『エアロゾル用語集』、洗浄集塵、220-221、京都大学学術出版会、2004.
化学工学協会編,化学工学便覧 改訂三版,1013-1014, 丸善(1968)
(群馬大学・原野 安土) 2016年5月2日 ★