ナノ粒子
Nanoparticle
直径がナノメートルオーダーの微粒子。
工業材料として用いる場合は、ISO規格(ISO/TS 80004-2: 2015)1)では、代表長さが1~約100 nmの物体と定義される。粒子は3次元物体であるが、そのうちの2次元以上がナノメートルオーダーであれば、一般的にナノ粒子と定義される。たとえばカーボンナノチューブのように、直径が数 nmで長さがミクロンサイズであってもナノ粒子の一つとして取り扱われることが多い。
一方、1次元のみがナノサイズの物体、すなわち薄膜は、ナノ粒子と区別される。このような定義が異なる理由には、ナノ粒子の生体や環境への影響が十分に明らかにされていないことが挙げられる。すなわち、工業材料としてナノ粒子を生産する場合、労働者や使用者への法的な安全指針の制定においてナノ粒子の定義は重要となる。
エアロゾル分野、特に大気環境におけるナノ粒子は、硫黄酸化物や有機物ガスの光化学反応によって、核生成によって生成する二次粒子が研究対象となっており、この過程は新粒子生成とも呼ばれる。一般的に100 nm以上の粒子はサブミクロン粒子と呼ばれ、工業材料として広く用いられるようになっている。また、1 nm以下の粒子は、原子・分子の性質を有するクラスターとして区別される。ナノ粒子の大きな特徴である量子効果の発現には、一般的に数 nmの粒子の生成が必要であり、この生成にはエアロゾルプロセスが多く用いられる。
参考文献
(金沢大学・瀬戸章文) 2022年5月14日更新 ★