消散係数

extinction coefficient

光の強度が、エアロゾルや空気分子などにより散乱および吸収されて、距離ととともに減衰する割合を消散係数と呼ぶ。

波長λの光の強度を I0(λ) とすると、距離を通過した後の光の強度(λ)は、次式で表すことができる。

ここで、αext(z)は、距離zにおける消散係数である。この関係は、Lambert-beerの法則として知られており、サンフォトメータライダーなどの、光を用いたエアロゾル計測の基本原理となっている。単位体積あたりの消散係数(体積消散係数)の次元は、m-1(またはkm-1)となる。


ミー散乱理論から導かれる消散効率因子Q extを用いると、粒径分布n (r)の粒子群の消散係数αextは、

となる。ここで、λは入射光の波長、m は粒子の複素屈折率rは粒径である。また、散乱係数αscatと吸収係数αabsの和が、消散係数αext(=αscat+αabs)となる。


参考文献

会田勝: 大気と放射過程, 東京堂出版, pp. 63-80, 1982.

Van de Hulst, H.C.: Light scattering by small particles, pp. 114-171, Dover, New York, 1981.

Bohren, C. F. and D. R. Huffman: Absorption and scattering of light by small particles, pp. 83-154, Wiley-Inter Science, 1983.


(京都大学・矢吹正教) 2016年4月30日   ★