原子・分子の集合体。
一般的に数個から数百個程度の原子や分子がファンデルワールス力や水素結合、イオン結合などの、共有結合よりも弱い結合力で凝集して気相中に浮遊している物体。
気相中にある程度安定に存在し、大気圧下では多くの場合、溶媒和によって水分子が会合している。大気中のガス粒子転換プロセスによる、エアロゾル生成(核生成)過程のごく初期での生成物であり、大気エアロゾルでは、硫酸や硫酸アンモニウム、アミンなどのクラスターが多く研究されている。大気中でのクラスターの生成過程は特に新粒子生成と呼ばれ、地球温暖化に影響を与えるエアロゾル生成メカニズムとして研究が行われている。クラスターの分析法には、質量分析法が広く用いられており、質量電荷比(m/e)によってクラスターの同定が行われる。しかし、質量分離には真空が必要となるため、大気エアロゾルへの適用には課題がある。またイオン化におけるクラスターの破壊や損失も問題となっており、非破壊イオン化法としての静電スプレー法も研究されている。
(金沢大学・瀬戸章文) 2022年5月14日更新 ★