PVDとは、Physical Vapor Depositionの略語である。PVD法は、発生したい粒子と同じ組成の原料(固体の塊、粉体、液体)をいったん蒸気化(ガス分子化)し、さらに気相中で冷却することで、凝縮によってエアロゾル粒子を得る方法である。
蒸気化の手段としては、原料を電気ヒーターや赤外線で加熱する手法(それぞれ伝導・対流加熱、ふく射加熱)や、高周波の電磁波で加熱する手法(誘導加熱)が主に用いられている。また、高いエネルギーの(高速で運動する)アルゴン・窒素のイオンなどを衝突させて原料から原子をはじき飛ばす手法(スパッタリング)もある。粒子およびその原料の物性にくわえて、蒸気化と冷却・凝縮の起きるタイミング、生成場のガス流動、圧力などが生成する粒子の性状に影響する。金属単体、金属の塩化物、金属同士の複合物、常温では蒸発しづらい(蒸気圧の低い)油滴などの粒子の発生に適しており、純度が高い粒子、粒子径が10 nmのオーダーないしそれ以下のきわめて小さい粒子、粒径のよく揃った(単分散性の高い)粒子などを比較的得やすい発生法である。
(広島大学・島田学) 2016年5月2日 ★