静止した粒子が重力により加速されながら流体中を沈降する時、粒子沈降速度が増加するにしたがい抵抗力が増加するので、沈降速度はある時間以降一定値になる。その時の沈降速度を終末沈降速度と呼ぶ。その途中で、粒子落下速度が終末沈降速度の(1-e-1)倍、約0.632倍となる時間を緩和時間と呼ぶ。ストークスの抵抗法則とカニンガムの補正係数Ccを導入すると、粒子緩和時間 τ は、
τ = {dp2(ρp+ρ/2)Cc}/(18η)
で与えられる1)。ここに、dpは粒子径、ρpは粒子密度、ρは流体密度、ηは流体粘度である。クヌーセン数Kn<0.01の連続領域では、Ccは1であり粒子緩和時間は粒子径dpの2乗に比例する。0.01≦Kn≦10の遷移領域では、粒子緩和時間τは粒子径dpの1乗にほぼ比例する。以上の関係性から、粒子緩和時間τは、粒子径が小さいほど短くなることがわかる。
参考文献
1) 奥山喜久夫、増田弘昭、諸岡成治(共著)、新体系化学工学 微粒子工学、オーム社、1992.
(関西大学・岡田芳樹) 2022年4月20日更新 ★