ディーゼル排気微粒子

Diesel Exhaust Particles

ディーゼルエンジンにおける燃焼により生成する粒子状物質のことで,DEP(Diesel Exhaust Particles)と略記する.ディーゼル排気粒子あるいはディーゼル粒子とも言う.

粒径は微小側に分布しており,質量粒径分布ではaccumulation mode,個数粒径分布ではnucleation modeに多く存在している.特にnucleation modeについては,都市大気中の超微小粒子,あるいはナノ粒子の主要な起源の1つとなっている.

燃料や潤滑油の未燃分や分解物から構成されていることから,元素状炭素(Elemental Carbon;EC),有機物,無機硫酸塩などが主な成分である.ECsoot(いわゆる煤)の主体であり,これが“黒煙”として見える部分である.有機物の組成は炭化水素類,特に多環芳香族炭化水素類(Poly Aromatic Hydrocarbons; PAHs)が特徴的である.有機成分は一般に有機溶媒に溶かして分析することから,可溶性有機成分(Soluble Organic Fraction;SOF)と表されることもある.

DEPの排出削減対策としてDPF(Diesel Particulate Filter)が使われており,DPFの再生や窒素酸化物(NOx)の同時削減も行うシステムとして開発されている.


参考文献

小林 伸治ほか:ディーゼル車からの微小粒子の排出特性と道路沿道大気中における挙動,エアロゾル研究,21, 305-311, 2006

伏見 暁洋ほか:加熱脱着GC/MSによるディーゼル排気および大気中ナノ粒子の有機成分分析,エアロゾル研究,23, 163-171, 2008


(埼玉県環境科学国際センター・長谷川 就一) 2022年5月9日   ★